高価なGPUやFPGAなど特殊ハードウェアをクラウド上で安価に利用できるBitfusionのCloud Adaptorサービス

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今年の本誌主催TechCrunch Disrupt NYのStartup BattlefieldでデビューしたBitfusionは、アプリケーションが高性能なハードウェアの上で走る場合、ジェネリックで平凡なコードを実行させず、そのハードウェアの性能をフルに使って動けるようにする。デスクトップの場合はもちろんだが、これからは、特殊で高性能なコンピューティングクラウド(“スーパークラウド”)上でもそれができる。

同社の最初のプロダクトBoostは、ライブラリをマシンのハードウェアに合わせて最適化することによって、既存のアプリケーションを高速化する。これまで非公開アルファだったBoostはこのほどベータに移行したので、誰もがここで登録できる。

Bitfusionの協同ファウンダでCEOのSubbu RamaとCTO Maciej Bajkowskiによると、初期のユーザは機械学習やデータサイエンスのプロジェクトにBoostを使ってみて、感激している人が多いそうだ。今のところBoostが対応しているアプリケーションは、Blender, ImageMagick, Octave, Matlab, Torchなどだけだが、今後はもっと増やしたいと同社は言っている。

同社は、Boostをメインのプロダクトと見なしているが、これまでBitufsion Labsの実験的プロジェクトだったCloud Adaptorは、さらにエキサイティングなプロダクトだ。

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デベロッパがCloud Adaptorを利用すると、本来ローカルマシンのために書いたアプリケーションが、クラウドの上でもGPUやFPGAにアクセスできる。アプリケーションは自分が高度なハードウェアを揃えたラップトップの上で実行されていると思い込んでいるが、実際にはそれらのデバイスはクラウドにある。

Ramaは語る、“Cloud Adaptorはわれわれにとって、Boostの次に当然取り組むべき課題だった。Boostはインノード(in-node)のアクセラレーションを提供するが、でも自分のマシンに適正なデバイスがなかったら、そこでお手上げになる”。

しかしCloud Adaptorのコマンドラインツールを使えば、デベロッパはたとえばAWSやRackspace、SoftlayerなどのクラウドのGPUにアクセスでき、またRackspaceと共同開発したBitfusionのクラウド上のFPGAにもアクセスできる。

ふつう、デベロッパがAltera FPGAにアクセスするのは容易ではないが、このサービスを利用するとクラウド上のそれらを簡単に利用できる。あるいは、IntelがAltera FPGAを内蔵したXeonチップを出すまで待つか、だ。

もちろん、違いがはっきり現れるのは、デベロッパがそういう特殊なハードウェアをフルに利用するアプリケーションを書いた場合だ。デベロッパは、APIの呼び出し回数に応じて課金される。

RamaとBajkowskiによると、これまでのデベロッパはGPUやFPGAsの利用を前提とするコードを、書くことはできてもテストすることができなかった。でもこのCloud Adaptorを利用すれば、高価なハードウェアを買わなくてもクラウド上で自分のアプリケーションを動かせる。

このサービスによって、高度なハードウェアを利用するアプリケーションを書くデベロッパ人口が一挙に増える、とBitfusionは期待している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

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TechCrunch Japan

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