ハイパーローカルな配送センターを所有・運営し、すでにベルリンでサービスを展開しているグローサリー配達スタートアップGorillas(ゴリラス)がシリーズAラウンドで4400万ドル(約46億円)を調達した。
本ラウンドはヘッジファンドのCoatueがリードし、欧州の匿名投資家が参加した。CoatueのDaniel Senft (ダニエル・センフト)氏とBennett Siegel(ベネット・シーゲル)氏がGorillasの役員会に加わる。
AccelとIndexが本ラウンドに参加すると報道されていたが、結局投資しなかったことは注目に値する。Atlantic Food LabはGorillasの120万ユーロ(約1億5000万円)ほどだったとされているシードラウンドに拠出した。
今年5月にKağan Sümer(カーガン・シュメール)氏とJörg Kattner(イェルク・カットナー)氏によって設立され、ベルリンとケルンで事業展開しているGorillasは平均10分でグローサリーを届ける。ギグエコノミーモデルと異なり、同社は直接ライダー(配達人)を雇用し、家庭用品とともに新鮮なグローサリーを最短かつ「小売価格」で買い物客に届けることができると強調している。週に一度の買いだめから漏れるグローサリーマーケットに対応しようとしている。
一部の人は、Deliveroo(デリバルー)やUberEats(ウーバーイーツ)上で運営されている配達専門のレストラン、ダークキッチンにかけて、Gorillasが試しているモデルのことを「ダーク」コンビニエンスストアと名付けた。Gorillas、そしてDijaやWeezyのような欧州の競合他社はローカル配達オンリーのグローサリー・コンビニエンスストアを構築している。これらスタートアップはまた米国のgoPuffともよく比較される。
GorillasのCEO、Kağan Sümer氏は、配達モデルも含め巨大スーパーは消費者がスーパーマーケットとサプライチェーンのニーズに合わせてグローサリーの買い物を計画するようにデザインされていて、消費者のニーズに合わせてではない、と話す。
これは長期保存が可能な商品、生鮮食品でも賞味期間が長いもの、そして週ごとのまとめ買いに対応するモデルでは特に機能する。しかし2つのユースケースにとっては不便だ。大事な食材がないなどの「緊急」の買い物のとき、そして今すぐ消費したいものを中心に冷蔵庫の中身を素早く補充したいときだ。
「最大の問題は、大量買いが過剰に提供されていることです。つまり言いたいのは、スーパーのインフラ全てが大量買いを想定して形成されているということです、とシュメール氏は話し、これによりマーケットの3分の1が十分にサービスを利用できていないと主張した。
「ペンネはあるが、アラビアータではないとしましょう。今すぐ必要なソースをどうやって手に入れるか? その方法がないのです」
「なので我々は自問しました。もし人々が必要としているものを必要なときに提供する会社が登場したらどうなるか、と。我々の仮説は、そうなれば人々は感謝するだろうし、グローサリー購入を一層オンデマンドにシフトさせるだろう、というものでした」
Gorillasは「Faster than you(あなたよりも速い)」というスローガンを掲げ、配達料はわずか1.8ユーロ(約230円)だ。Gorillasについての疑問は、ユニットエコノミクスはどうなのかということだ。特に大規模展開するなかで、価格を大幅にあげない場合だ。「調達先との関係を通じて、我々は健全なマージンを確保していて、これにより小売価格で販売できます」とシュメール氏は述べた。「手堅いバスケットサイズ(買い物量)と調達マージンで、長期的に持続する事業を構築できます」
配達にかかる時間は平均10分だと同氏は話す。「フルフィルメントセンターを中心としたネットワークを通じて、狭い範囲で顧客にサービスを提供できます。究極的には、配達時間に関して完全に透明性のある効率的で素早いサービスの提供に努めます」とした。
一方で、新たに調達した資金はドイツ中にサービスを拡大し、それから欧州展開を加速するのに使われる。ドイツ以外での最初の展開はアムステルダムだ。加えてベルリンでのチーム編成にも資金を使う。来年の第2四半期末までにドイツ国内15都市と欧州で60カ所超のフルフィルメントセンターを展開する計画だと話している。
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画像クレジット: Gorillas
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(翻訳:Mizoguchi)