ウェブを介して行われるコミュニケーションの「バックボーン」となることには、プラスの面とマイナスの面がある。Twitterはいろいろなサイトから情報を取り出してきて多くの人と共有するために使われている。しかし他サービスからの情報を「流す」(共有する)用途で利用している人は、Twitterのサイトを訪れる必要もない。すなわちTwitterサイトに掲載する広告を目にすることもないのだ。
既におわかりのように、広告の提示機会を失っていることがTwitterにとっての問題となる。2億1800万の利用者のうち、こうしたTwitterサイトを経由しない利用者(blindtweeter)がかなりの割合にのぼるものと思われる。
TwitterはS-1書類の61ページにて「アクティブユーザー」にはサイト訪問者およびモバイルアプリケーションの利用者のみでなく、ログインして外部のアプリケーションないしサイト経由で利用している人も含むと記している。そうした人々もTwitterにコンテンツを送り込み、そしてそのコンテンツのフィード中には広告も表示される。すなわち、そうした人々もTwitterの売上げに貢献しているのだと言うことはできる。但し、そうした人々自身は、Twitterの提供する広告を目にしてはいないことも事実だ。
言うまでもなく、サイトを訪問せずにTwitterを利用する方法は無数にある。多くの人がブログに投稿したり、Tumblrを更新したら、自動的にツイートが流れるようにしている。Facebookへの投稿を自動的にTwitterに流している人もいる。IFTTTなどのツールもあり、さまざまな方法で外部サービスと連携させることができるようになっている。上場云々が無関係な時期であれば、ともかくコンテンツを増やすというのが大事なことではあった。もちろん現時点でも大事なことだろう。ただ、「無意識」のうちにTwitterを使う人が多い中、Twitterの「商業的価値」を実際以上に大きく見せてしまうということはある。
「Twitterは全く利用していないけれど、Instagramのフォードは流すように設定している」という人もいる。実のところInstagramのフィードを流す人というのが、Twitterにとっては痛し痒しの存在になってもいる。InstagramはTwitter Cardsのサポートをやめてしまっていて、Twitter上にInstagram関連の投稿が流れても、写真を見ることはできないのだ。写真を見ようとする人は、Twitterから離れてInstagramのサイトに飛ぶことになってしまうのだ。つまり、ここでも広告の表示機会を失うこととなってしまう。
Twitter自身も「他アプリケーションからTwitterを利用していて、Twitterからの広告を目にもしない利用者」を「リスク要因」としている。但し、こうしたタイプの利用者割合については明らかにしていない。もし、Twitterのマネタイズに寄与しない(寄与する率の低い)利用者が非常に多いようだということになれば、上場を行う前にきちんとした数値を明らかにせよという圧力が強まることになるかもしれない。
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(翻訳:Maeda, H)