宇宙にドーナツを打ち出してみようとする人が、つい最近までいなかったというのが不思議に感じられさえする。2015年というのは、かくまでに夢のない時代であったのだろうか。もちろんお菓子自身が宇宙を夢見ることなどあり得ない。しかし夢多き人類さえ、お菓子を宇宙に打ち出してみようと考えていなかったのだ。しかし、ついに二人の兄弟がことを成し遂げた。
英雄と呼ぶにふさわしい兄弟はBenjaminおよびAlexanderのJönsson兄弟だ。スウェーデン出身の二人が、ヨーロッパ産のドーナツを成層圏を超えた世界に送り出した。実行したのは4月9日のことだった。しばらく前の話ではあるが、今になって話題が世界に広がりつつある。この二人のスウェーデン人は、飛行許可の容易さもあって世界の果て(ノルウェイ)にまで出かけて宇宙へのチャレンジを成し遂げたのだ。ドーナツをバルーンに結びつけ、宇宙との境目まで飛ばせて、そしてベッテル湖に着水させたのだった。ドーナツはボランティアが無事回収に成功した。
ところで。このニュースは果たして重要だろうか。現在の技術動向を考えると、何らかの物体を宇宙に送り、そしてその経過を記録するというのはさほど大したことではないかもしれない。しかし、専門家でもない兄弟が、ふとした気まぐれで大した予算もなく物体を宇宙に送れるというのはなかなか大したことなのではなかろうか。仕掛けもありあわせのものといってよいだろう。単なる思いつきによるできごとと言う事はできるが、ここから宇宙研究を志す子供が出てこないとは限らないかもしれない。
但し、この実験で使われたドーナツは、どうも趣味に合わない。TimbitやBoston Cremeのものを使ってくれたら良かったのにと思ってしまう。「宇宙を旅したお菓子」が人気を集めるのは、もう少し先のことになりそうだ。
[原文へ]
(翻訳:Maeda, H)