米国時間11月26日、人々が感謝祭の料理を準備したり食べたり、特別な一日をリラックスして過ごすための「仕事」をしている中、祝日にお買い得品を求めてオンラインショッピングに勤しむ人もいる。Adobe(アドビ)は、米国のトップ100の小売業者のうち80社のオンライン販売をリアルタイムで追跡しており(Adobeサイト)約1億のSKUをカバーしているが、初期の数字を見ると、感謝祭の日の電子商取引売上額は60億ドル(約6240億円)を突破するだろうと述べている。一方、Shopifyは、そのプラットフォームに加盟する100万以上の小売商の活動に基づき、カート内の平均金額は全世界では84.50ドル(約8792円)、米国では特に88.30ドル(9188円)だったと述べている。
なお、感謝祭の売上高の数字が入り次第、この記事は更新していく予定。
売り上げ好調が予想されるシーズンに、2020年は消費者がオンラインショッピングで1891億ドル(約19兆6740億円)を消費するとアドビは見ている。
Adobe(アドビ)の60億ドルという数字をいくつかの文脈に当てはめると、ホリデーシーズン全体では2019年比33.1%増という予想が浮かび上がってくる。アドビは2019年に、買い物客が感謝祭に42億ドル(約4370億円)をオンラインで消費したと発表しており、今年、2020年の数字は42.3%増ということになる。そして今日に至るまで、今週の各日は30億ドル(約3122億円)以上の売り上げがあった。
何が起こっているのだろうか?この数字は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年の経済的な落ち込みにもかかわらず、小売業者は少なくとも、伝統的に最も重要な売り上げ期間である次の数カ月間に、損失の一部を補うことができるだろうという希望に満ちた兆候である。
ここ数カ月にわたって我々が報じてきたとおり、全体的に2020年は電子商取引にとって高水位の年となっている。オンラインにおけるブラウジングやショッピングの増加という大きなトレンド(年々増え続けている)を、コロナ禍がさらに後押ししていることは明らかだ。
新型コロナウイルスの蔓延を抑えるために、人と人との距離を開けようという動きは、多くの人を店舗のような混雑した場所から遠ざけるように駆り立てた。私たちは家にいることを余儀なくされ、自宅からインターネットで物事を済ませるようになった。
このような傾向は、すでにオンラインショッピングに慣れている人がより多くのお金を使うようになっているというだけでなく、オンラインショッピングというプラットフォームに新しいカテゴリーの買い物客を導き入れているのだ。
アドビによると、今週のこれまでのところ、全売上の9%が「店舗が閉店していたり、対面での接触によるウイルス感染を避けようと、従来の実店舗の買い物客がオンラインで取引を完了させるようになったことによる正味の新規顧客から発生したもの」だという。
ブラックフライデー(感謝祭の翌日)は、伝統的にホリデーショッピングの始まりとされてきたが、電子商取引の成長により、実店舗が閉まっており多くの人が何もすることなく家の中をうろうろしている感謝祭の日が、より重要視されるようになってきた。今年はその傾向を踏襲しているようだ。
「家族は休日に多くの伝統を持っています。しかし、旅行が制限され、自宅に留まることを要請され、ウイルスの蔓延に対する恐れなどから、米国人はその多くを楽しむことができなくなっています。オンラインショッピングは、オンラインで維持することができる祝祭日の習慣の1つであり、売上高は、贈り物の習慣が今年もずっと愛されている伝統であることを示しています」と、Adobe Digital InsightsのディレクターであるTaylor Schreiner(テイラー・シュライナー)氏は声明で述べている。
もっとも、ブラックフライデーの売り上げが縮小するといっているわけではない。アドビは、今年のオンライン販売における売り上げが103億ドル(約1兆702万円)を突破すると予測している。
何が売れているのか、いくつか掘り下げてみよう。
アドビによると、ボードゲームや「家族に焦点を当てる」その他のカテゴリーが好調で、売上は2019年の5倍に増加しているとのこと。
同様に、私たちがいま、どれほどオンラインで食料品の買い物をしているかということだが、先週の食料品の売上は10月と比較してなんと596%も増加している。人々は長い週末のために食料品を買い込んでいたのだ(家族と一緒に食べるかどうかはともかく)。
その他の多く売れた商品としては、「Hyrule Warriors: Age of Calamity(ゼルダ無双 厄災の黙示録)」や「 Just Dance 2021(ジャストダンス2021)」といったゲームソフト、VTechのラーラングトイ、レインボーハイのファッションドールなどが挙げられる。
アマゾンが今週発表した、今シーズンから配送の選択肢を増やすという発表は、電子商取引が単純な宅配を超えていかに成長しているか、小売業者がビジネスを他者と差別化するために、いかに重要な要素となっているかを物語っている。店頭受取サービスは今週、昨年同期と比べて116%の増加、迅速配送は49%増となっている。
予測通り、スマートフォンの役割もこれまで以上に大きくなっている。アドビによると、11月のこれまでのスマートフォン経由の利用額は255億ドル(約2兆6540億円)で、2019年と比べて48%増と大幅に成長している。これらの数字を基にすると、スマートフォンは電子商取引の全売上高の38.6%を占めることになる。ショッピファイはスマートフォンに対してさらに強気だ。そのプラットフォーム上で、感謝祭の世界的な売上の70%を占めていたと述べているのだ。
アドビは、米国では大手小売業者が人々の買い物の方法を支配し続けていると述べている。ウォルマートやターゲット、アマゾンなどの大手小売業は、合計で年間10億ドル(1000億円)以上の収益を上げるが、10月以降は147%に売上高を伸ばしている。その理由の1つは、コンバージョン率が中小企業よりも100%高い、より洗練されたウェブサイトにあると考えられる(中小企業が競争力を上げるためのツールを構築できる会社にとっては大きな伸びしろが残されているということだ)。
しかし、Shopifyの物語は異なる絵を描いていることに注目すべきだ。そのプラットフォームは、どんなブランドでも電子商取引サイトを構築できる仕組みを提供するもので、多数の小売業者のオンライン売上高の合計、いわゆる「ロングテール」に焦点を置いている。約100万もの加盟店が同社のプラットフォームを使用して受注、販売、決済などを実行しているのだ。Shopifyはブラックフライデーに詳細な結果を発表する予定だが、そのメッセージは、ビジネスの規模がすべてではない、ということになるだろう。つまり、物を売るにはそれを効率良く販売できる仕組みを築くことが重要だということだ。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Adobe、Shopify、ネットショッピング
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(翻訳:TechCrunch Japan)