現在世界最大のギャンブルセンターとなっている旧ポルトガルの植民地のマカオが、例年ラスベガスで開催されている有名なCESに匹敵するテックフェアを2021年に開催する予定だ。
この「Beyond(ビヨンド)」会議のブレーンを務めるのは、TechCrunchの元中国パートナーである、中国のテックニュースメディアTechNodeの創業者Lu Gang(ルー・ガン)氏と、マカオのベンチャー投資家であり、中国のトップ政治諮問機関であるCPPCC北京のメンバーであり、マカオ政府にも深いコネクションを持つJason Ho(ジェイソン・ホー)氏だ。
マカオ政府が一部出資するこのイベントは、現在カジノを中心としたその経済を、60万人の住民のために多様化させたいこの地域の長期戦略を示す一端となっている。この会議は深圳、香港、マカオなどの周辺都市で構成される「グレーターベイエリア」を標榜する広東省政府からも、サンフランシスコのベイエリアに張り合うために「支持」を得ている。
「マカオは、エンターテインメント産業やホテルといったインフラが充実していますので、人びとを惹きつけるイベントを行うにはとても適していると思います」とホー氏はTechCrunchのインタビューで語っている。
CESとは異なり、今回のテックフェアでは、消費者や企業向けの電子機器だけでなく、政府向けの技術にも焦点が当てられるとホー氏は述べる。現在同フェアは社会・環境技術、生命科学、先端技術、そして5G、スマートシティ、交通機関などのイノベーションを意味する中国の流行語「new infrastructure(新しいインフラ)」を専門とする企業を世界中から招いている。
マカオが地政学的に「中立」な立場にあることを考えると、このイベントは中国と世界の架け橋になることができるとホー氏は考えている。
「マカオは他の国が中国本土に進出したり、中国本土の企業がアジア太平洋地域や中東諸国に進出するためのプラットフォームになることができると思います」とホー氏は語る。
「多くの人たちが参加したいと思い、かつそれほど政治的なイベントだと感じないで済むような、国際的で中立なイベントを開催できるのは、香港とマカオだけだと思います」。
多くの人が、北京政府が旧英国植民地に対する締め付けを強化しているため、半自治区域としての香港の特別な地位が危うくなっている(The New York Times記事)と主張している。Web Summit(ウェブ・サミット)が、2019年まで香港で開催していた人気テックカンファレンスRise(ライズ)は、香港の政治的緊張が続いていることを受けて、クアラルンプールに移転した。
ホー氏は、マカオも同様の課題に直面する可能性があることを認めながらも、香港のRiseから上海のCES Asiaに至る主要な国際的テックフェアが米中貿易戦争の影響もあって(South China Morning Post記事)行われなくなったことで、マカオがアジアのテックコミュニティからの参加者や、中国に関心を持つ人びとを引き付ける機会が増えるはずだと考えている。
「いずれはシンガポールと並ぶようになりたいという、大きな夢をいつも持っています」とホー氏はいう。さらにマカオ政府は海外企業に優しい政策の導入にも取り組んでいると付け加えた。
Beyondは2021年6月中旬に開催される予定だが、イベントの実施可能性は、今後数カ月間に進められる新型コロナウイルス対策の状況にかかっていることは間違いない。
Beyondはテック企業やスタートアップ以外にも、中国全土の学界、社会、省政府から影響力のあるメンバーを集めようとしている。イベント主催者はByteDance(バイトダンス)、DJI、SenseTime(センスタイム)、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)、Foxconn(フォクスコン)、BMWなどと交渉中であり、他の大企業幹部の招待も進めているという。
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(翻訳:sako)