ご存知のとおり、パンデミックは脅威を取り巻く状況を大きく変えた。2021年のランサムウェア攻撃件数はこれまでのところ290万件を数え、欧州共同体のサイバーセキュリティ当局ENISAによると、KaseyaやSolarWindsを標的にしたサプライチェーン攻撃は2020年の4倍にのぼる。ENISAはこのほど、従来型のサイバーセキュリティ保護がこうしたタイプの攻撃に対してもはや効果的ではないと警告していた。
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こうした事態は新興技術に対するこれまでにない需要を生み出し、最新のサイバーセキュリティ技術を詳しく検証しようとしている組織や投資家を引きつけている。
「世界中の民間・政府組織にとってこれまでで最も攻撃的な脅威を生み出す要素が重なっているパーフェクト・ストームを我々は目にしています」とNightDragonの創業者でマネージングディレクターのDave DeWalt(デイブ・デウォルト)氏は述べた。NightDragonはこのほどマルチクラウドセキュリティスタートアップのvArmourに投資した。「投資家、そしてアドバイザーとして、組織が増大しつつあるリスクを抑制する準備ができるようサポートするのは責務だと感じています」。
米国時間8月25日に発表されたMomentum Cyberの最新サイバーセキュリティマーケット調査によると、投資家は2021年上半期にサイバーセキュリティのスタートアップに115億ドル(約1兆2650億円)のベンチャーキャピタルを注いだ。2020年同期の47億ドル(約5170億円)から大幅に増えている。
Momentumによると、全投資案件430件のうち36件が1億ドル(約110億円)を超え、ここにはパスワード不要の認証会社Transmit Securityが調達した5億4300万ドル(約600億円)のシリーズAや クラウドベースのセキュリティ会社Laceworkが完了した5億2500万ドル(約580億円)のラウンドが含まれる。
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「15年超にわたるサイバーマーケットの投資家として、こうしたマーケットを取り巻く状況はこれまでに目にしたことがないものだと言えます」とAllegisCyber Capitalの創業者でマネージングディレクターのBob Ackerman(ボブ・アッカーマン)氏は述べた。同社はこのほどサイバーセキュリティスタートアップPanaseerへの2650万ドル(約29億円)の投資をリードした。「CEOや役員、投資家たちがこの分野に真剣に耳を傾け、今日そして明日のサイバーセキュリティの問題を解決するイノベーションにリソースと資金を注ぐのをようやく目の当たりにしているのは心強いものです」。
驚くことではないが、2021年上半期のM&A件数も大幅に増え、特にクラウドセキュリティ、セキュリティコンサルティング、リスク&コンプライアンスの分野の企業を対象とする案件が激増した。Momentumによると、M&Aの取引額は163件合計で過去最多の395億ドル(約4兆3440億円)に達し、2020年上半期の93件の取引総額98億ドル(約1兆780億円)の4倍超となった。
これまでのところ2021年のM&A取引の9件が10億ドル(約1100億円)を超え、ここにはThoma Bravoによる123億ドル(約1兆3530億円)でのProofpoint買収、Oktaによる64億ドル(約7040億円)でのAuth0買収、TGによる40億ドル(約4400億円)でのMcAfee買収が含まれる。
「2021年上半期を通して、M&A件数、取引金額においてこれまでにない戦略的な動きを目の当たりにしてきました」とMomentum Cyberのマネージングパートナー、Eric McAlpine(エリック・マックアルパイン)氏とMichael Tedesco(マイケル・テデスコ)氏は述べた。「このトレンドは2021年残りと2022年も続くと予想しています」。
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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi)