2021年第3四半期のChromebook販売が激減、教育市場が飽和状態になったとの分析

市場調査会社Canalys(カナリス)が米国時間11月1日に発表したレポートによると、第3四半期の全世界におけるPC販売台数は2%減少したという。だが、最新のPC市場調査の中で最も驚くべきデータは、Chromebook(クロームブック)の全ノートPC販売台数に占める割合が、前四半期の18%から今四半期はわずか9%に半減したことだ。

市場全体にとって良いニュースは、第3四半期の販売台数が1億2200万台を超え、新型コロナウイルス流行前の水準を上回ったことだが、全体的なサプライチェーンの問題により、今後数四半期の間にPCメーカーの生産状況が悪化する可能性があり、嵐の気配も迫りつつあるようだ。

新型コロナウイルス流行に起因する販売熱がようやく落ち着き、Chromebook全体の販売台数は前年同期比37%減の530万台となった。この数字はChromebook販売の低迷を反映しており、大手Chromebook販売店は大きな打撃を受けている。トップベンダーのLenovo(レノボ)は前年比の20.9%減、2位のHPは66.1%減、3位のAcer(エイサー)は28.6%の減少となった。

Canalysはその原因について、部品不足やその他のサプライチェーンの問題よりも、市場の飽和が影響していると推測している。「第3四半期のChromebookの出荷台数は、前年同期比37%減(前四半期比52%減)となり、Chromebook市場は大きな落ち込みを見せています。これは、米国や日本などの主要な教育市場が飽和状態に達し、公的機関によるデジタル教育プログラムへの資金提供が鈍化しているためです」と、調査会社は述べている。

画像クレジット:Canalys

一方、タブレット端末の全世界における出荷台数は、前年同期比で15%減少。23%増加したアジア太平洋地域を除き、すべての地域で販売台数が減少した。北米では24%の減少となった。

Apple(アップル)は、前年同期の34.4%から上昇して40%のタブレット市場シェアを維持したものの、販売台数は前年とほぼ変わらなかったため、成長率は0%となった。Samsung(サムスン)のシェアは、前年同期の20.4%から今期は19.1%へとわずかな減少だったが、販売台数は2020年比で20.2%減と急激に落ち込んだ。3位のレノボは11.3%のシェアを獲得。前年同期の9.5%から上昇し、成長率はわずかながらプラスの2%だった。

PC全体では、トップベンダーのレノボが4.1%増、2位のアップルは4.6%増、そして3位のHPは5.7%減と、HPは特にChromebookの売上減少の影響を大きく受けたようだ。

CanalysのリサーチアナリストであるBrian Lynch(ブライアン・リンチ)氏は、サプライチェーンの問題があるとはいえ、ホリデーショッピングシーズンには、ある程度の安心感が得られるだろうと述べている。

「第4四半期の売上高は、サプライチェーンの問題にもかかわらず、前四半期比で改善が見られるでしょう。これは主に、ホリデーシーズンに関連して消費者の需要が世界的に高まるためです。この需要は、低コストで材料費の少ないデバイスに向けられるでしょう。消費者はより高性能ではないデバイスを購入する傾向にあるため、部品メーカーへの負担は軽減されます」と、リンチ氏はTechCrunchに語った。ただし、Canalysでは、第4四半期の前年同期比成長率は比較的落ち着くと見ており、2022年以降はわずかながらも安定した成長が期待できるとしている。

なお、Canalysの市場調査方法は、最終顧客への販売ではなく、チャネルへの販売をカウントしたものであることは、記しておく必要があるだろう。つまり、消費者であるユーザーではなく、Best Buy(ベストバイ)やStaples(ステープルズ)のような企業に販売した台数をカウントしているのだ。

画像クレジット:Filipovic018 / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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