GMは米国時間9月9日、フルサイズ・ピックアップトラック「Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)」の2022年モデルを発表した。ハンズフリー走行が可能な先進運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」や、Google(グーグル)サービスを組み込んだインフォテインメントシステムなど、大きなテクノロジー系のアップグレードを受けた他、インテリアが一新されている。また、新たなフラッグシップモデルとして、工場出荷時にサスペンションのリフトアップを施したオフロードトラック「ZR2」もラインナップに加わった。
シルバラードのリフレッシュは、シボレーとGMCのピックアップトラックを含む、GMの電気自動車攻勢に先駆けて行われた。GMは2025年までに30台の新しい電気自動車をグローバル市場に投入し、2035年までに全車をゼロエミッション(排ガスを一切出さない)車に移行することを目指している。GMによれば、この新しいシルバラードは2022年春よりディーラーに並ぶ予定だという。
2022年モデルのシボレー・シルバラードは、エクステリアもリフレッシュされ、新しいフロント・フェイシアや、ドライバーが車両に近づいたり離れたりすると光がアニメーションするデイタイム・ランニング・ライトなどが採用された。しかし、本当の意味での変化は、このトラックのキャビンと、そこに搭載されたハードウェアとソフトウェアの根幹に見出すことができる。
最もベーシックなエンジンは、2.7リッター直列4気筒ガソリンターボ「High-Output(ハイアウトプット)」エンジンで、その最大トルクは前モデル比20%増の420 lb.-ft.(569Nm)を発生する。これを搭載する2輪駆動モデルの最大牽引力は9500ポンド(約4.3トン)。組み合わされる8速オートマティック・トランスミッションはシフトスケジュールが見直され、シフトがスムーズになっただけでなく、すばやくシフトダウンして必要なパワーを引き出せるようになった。
3.0リッター直列6気筒ターボディーゼル「Duramax(デュラマックス)」エンジンも改良され、最大牽引力が1万3300ポンド(約6トン)になった(2輪駆動車)。グレードによっては、5.3リッターと6.2リッターのV8ガソリンエンジンも選ぶことができる。
より広々とした印象に刷新されたインテリアには、13.4インチのタッチスクリーンと12.3インチの表示変更可能なデジタル・メーターパネルを「LT」以上のグレードに標準装備。オーナーはリアカメラミラーやヘッドアップディスプレイを追加することもできる。
インテリアは新色が用意され、シートのデザインも変更を受けた。新たにプレミアムな素材も採用されている。バケットシートを装備するモデルでは、センターコンソールに電子制御式シフトコントローラーが内蔵された。
シボレー・トラックのリード・インテリア・デザイナーを務めるAlexandre Scartezini(アレクサンドル・スカルテジーニ)氏は、より現代的で洗練された「デザインのDNAにCorvette(コルベット)からの影響を感じさせる」ものになったと述べている。
すべてGoogle
車内のさらに奥、すなわちインフォテインメントの部分では、Google、さらに言えばAndroid Automotive(アンドロイド・オートモーティブ)がオペレーション・システムの中核を担っていることにユーザーは気がつくだろう。つまり、Googleアシスタント、Googleマップ、Google Playが、すべてインフォテインメント画面に統合されているのだ。
Android Automotive OSと、Android Auto(アンドロイド オート)を混同してはいけない。後者はオペレーション・システムの上に載せる二次的なインターフェースだ。ユーザーのスマートフォン上で動作するアプリであり、車両のインフォテインメントシステムと無線で通信する。新型シルバラードは、Android AutoとApple CarPlay(アップル カープレイ)の両方に対応している。GMによると、このシステムはAmazon Alexa(アマゾン アレクサ)とも連携するという。
一方、Android Automotive OSは、Linux上で動作するオープンソースのモバイルOSを原型としているる。しかし、スマートフォンやタブレットを動かす代わりに、Googleは自動車メーカーが自動車内で使えるように改変した。Googleは以前から、このOSのオープンソース版を自動車メーカーに提供してきた。近年では、自動車メーカーはグーグルと協力して、Googleのすべてのアプリやサービスが組み込まれたAndroid OSをネイティブに構築している。
ハンズフリードライブ
シルバラードの全車には、自動緊急ブレーキ、車線逸脱警告および車線逸脱防止支援、前方衝突警告、車間距離表示、ハイビーム自動切り替え式ヘッドライト、前方歩行者検知ブレーキという6種類のアクティブセーフティ機能が標準装備されている。
今回の大きな変更は、さらにハンズフリー運転支援技術「スーパークルーズ」が追加されたことだ。これは最上級トリムの「High Country(ハイカントリー)」にオプションとして設定される。シルバラードのスーパークルーズは牽引中でも使用できるのが特徴だが、レーンチェンジ・オン・デマンドやオートマティック・レーンチェンジなど一部の機能は、牽引中には制限される。
スーパークルーズは、LiDARマップデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサー類の組み合わせで実現する機能だ。併せて、運転者が注意を払っているかどうかを監視するドライバー・アテンション・システムも搭載されている。Tesla(テスラ)の運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」とは異なり、スーパークルーズのユーザーは、ハンドルから手を離しても大丈夫だ。ただし、目線は前方に注意を向けていなければならない。
GMは2017年にスーパークルーズを導入して以来、着実に改良を重ねてきたが、その採用は何年もの間、同社の高級ブランドであるCadillac(キャデラック)に限定されており、ハンズフリー運転が可能な場所も特定の高速道路の定められた区間に限られていた。しかし、それは2019年にGMがより多くのモデルやユースケースに拡大する計画を発表してから変わった。現在、このシステムは米国とカナダの20万マイル(約32万キロメートル)以上の道路で作動させることができる。
他にもシルバラードには、牽引するトレーラーの長さも考慮に入れて、車線変更時に死角にある車両を警告する機能など、牽引時に役立つ運転支援機能が採用されている。
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画像クレジット:GM
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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)