遺伝子検査の最強スタートアップ23andMeが今日、さまざまな形のがんに結びついている遺伝子を調べる、消費者直送型のテストキットにFDAの公式の認可が下りたことを発表した。近く発売されるそのキットは処方箋不要で使用でき、卵巣、乳房、および前立腺のがんの高いリスクに結びついているとされるBRCA1とBRCA2遺伝子をテストする。
“初めてのそして唯一の消費者直送型遺伝学企業として、処方箋不要のがんリスク検査にFDAの認可を得たことは、23andMeと消費者の両方にとって大きな前進である”、と同スタートアップのCEO Anne Wojcickiがその発表を告げるプレスリリースで述べている。“一般消費者がこの、自分の生命に関わるかもしれない情報に低料金で直接アクセスできることは、きわめて重要であるとわれわれは信ずる。われわれは今後も継続して、健康情報へのアクセスを拡大する道の開拓者であり続けたい。そしてさらに、ヘルスケアへの消費者の意思による予防医学的アプローチを推進していきたい”。
ただしもちろん、この検査はがんのリスクに関する最終的決定的な結論となるものではなく、また正しい検診に代わるものでもない。遺伝学者のEric TopolがThe Vergeで述べているように、これで検査される三つの遺伝子変種は、知られている数百もの変異体のわずかなパーセンテージでしかない。したがってこの検査には、消費者に虚偽の安心感を与えるおそれがある。
Topolの警告は、FDAが2013年に同社に送った書簡を反映している。その書簡は23andMeに、同社の唾液採取キットとパーソナルゲノムサービス(Personal Genome Service, PGS)を中止するよう、勧告している。
“PGSに意図されている一部の用途がとくに気がかりである”、とFDAは書いている。“たとえばBRCA関連の遺伝子リスクと薬物反応(たとえばワルファリン過敏性、クロピドグレル反応、そしてファイブ・エフユー毒性)の評価は、これら高リスク指標の擬陽性または擬陰性の評価から結果する健康状態の可能性がある”。
遺伝子のその三つの変種はアシュケナージ系ユダヤ人の子孫に多く見られ、その系統の人びとでは40人に一人の割合で検出される。女性では、その変種の一つが存在すると70歳までに乳がんになるリスクが85%高くなる。同社の注記にもあるように、ある研究では、医療履歴を提供したBRCA陽性者の約半数は、近い親戚にがんの履歴がない、と報告している。
というわけで同社のサービスは、ユーザーに赤信号を提供し、今後の検診を勧めるものだ。しかしもちろん、この検査の結果を絶対に、実際に医師を訪ねることと同等、と見なしてはならない。