24歳CEOが率いるスキマバイトアプリ「タイミー」が約53億円を調達

空き時間に面接不要ですぐに働け、勤務終了後すぐお金を受け取れるスキマ時間バイトアプリ「タイミー」(iOSAndroid)提供のタイミーは2021年9月15日、第三者割当増資と金融機関からの借り入れにより総額約53億円の資金調達を行った。

調達先には、日本の未上場企業への投資が初となる海外機関投資家のKeyrock Capital Managementなどが含まれており、同社CFOの八木智昭氏は「コロナ禍における、タイミーの力強い成長ぶりが評価された」と話す。タイミーは2018年8月に同アプリをリリースして以来、金融機関からの借入を含む累計調達額が約90億円となった。また、今回の資金調達先でもある伊藤忠商事とは資本業務提携契約を、KDDIとは業務提携の検討を目的とした基本合意をそれぞれ締結している。

スキマ時間にすぐ働けるアプリ

タイミーは「この時間なら働ける」人と「この時間だけ働いて欲しい」企業をつなぐスキマバイトアプリだ。働き手は応募や面接がなく、条件をクリアしていれば好きな場所・好きな時間・好きな職種ですぐ働ける。また応募の際には、過去に働いた人のレビューを見ることができる。仕事が終わったらその場で報酬がアプリに反映され、24時間好きなときに引き出しが可能である(タイミーが給与を一時的に立て替える)。

一方、企業側は来て欲しい時間や求めるスキルを指定するだけで、条件にあった働き手と自動でマッチングできる。求人掲載手数料は無料で、管理画面から簡単な情報入力を済ませれば、最短1分で単発アルバイトの求人を掲載可能。また「勤務ドタキャン」を防止するペナルティ制度や、過去に働いた実績・レビューが見える機能で、働き手の質の担保も行われている。企業は働き手への賃金プラス30%を手数料としてタイミーに支払い、これが同社の主な収益源となっている。規模や時間を問わず、飲食・小売・物流などあらゆる業種の企業が利用する。

画像クレジット:タイミー

タイミーが従来の派遣会社や求人サイトと決定的に異なる点は、その「手軽さ」にある。20・30代が中心のタイミーの働き手は、例えば「今日の○時〜○時、渋谷で暇だな」と感じたら、ピンポイントの案件をタイミーで探してすぐに仕事をすることができる。登録会や面接もない。また企業にとっても、必要な時に必要な人材を迅速に集められる。あるスーパーの店長は「募集からたった数十秒後にマッチングした時は、衝撃を受けた」と話しているという。

面接がなく手軽であるため、「働き手の質が低いのでは」と想像してしまうが、「従来の派遣などと比較しても、むしろ無断欠勤などは少ない」と八木氏は話す。抑止力となっているのは、勤務終了後に働き手・企業が双方に残すことができるレビューだ。両者にとって、タイミーというプラットフォーム上で継続的に活動していくためには「良いレビューを残さなければならない」というインセンティブが働く。

コロナ禍で大胆にポートフォリオを変化

タイミーCEOの小川嶺氏は現在24歳。高校生の頃から起業を志しており、大学在籍中にファッション関連の会社を立ち上げたものの1年半で解散。生活費を稼がなければならなかった同氏は、日雇いバイトをすることもあったという。その時に、バイト前に毎回説明会に行かなければならなかったことが「不便だと思った」(同氏)。「これだけスマートフォンが普及している時代なら、アプリだけでもっとシンプルに完結する仕組みをつくれるはず」と感じたのが、タイミーをローンチするきっかけとなった。

同社が最も苦しかった時期は、日本で新型コロナウイルスが感染拡大した2020年4月頃。それまで企業ユーザーの半数以上を占めていた飲食店が軒並みダメージを受け、タイミーの成長にも陰りが見えた。しかし小川氏は、営業リソースを物流関連企業などに迅速に振り分け直し、大幅に方向転換。現在ではEC倉庫での軽作業といった物流関連がタイミー利用企業の60%以上を占めており、全体の成長率ではコロナ禍前をも凌ぐほどに息を吹き返した。2021年8月時点でタイミーの利用者数は約200万人、導入店舗数は約4万4000カ所に上る。

しかし、小川氏の目指すゴールはまだまだ先にありそうだ。「私達はUberやAirbnbのようなシェアリングエコノミーのサービスを目指しています。その意味でいうと、現時点でのタイミーはただ案件が掲載されているだけのサイトにすぎない。今後は、例えばユーザーの傾向を把握した上でAIがレコメンドする機能であったり、時給が変化するダイナミックプライシングであったりなど、ユーザーのスキマ時間をもっと有効活用できるよう工夫したい」。

自動車や部屋だけではなく、私達が持つ「時間」は紛れもなく貴重な資産である。誰もがスキマ時間をシェアすることで報酬を得られる世界を目指すタイニーは、今後日本の「働き方」の新しい方向性を示す存在になるかもしれない。

画像クレジット:タイミー

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TechCrunch Japan

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