今でもCDを買う人はいるし、ビニール(LPレコード)でなくちゃ音楽じゃないと主張する頑固者もいる。でも今や多くの人にとって音楽は、DRMのないMP3など、デジタルのストリーミングでやってくる。そこでなくなったのが、CDやレコードのアルバムには必ずついていたカバーデザインやライナーノート、歌詞カードといったアートワークの数々だ。そもそも今では、‘アルバム’という概念が古語になってしまったのかもしれない。3plet*は、昔のCD体験の良かった部分と、今のデジタル技術の良い部分を組み合わせて、アルバムのようなアート表現形式を復活させようとする。〔*: 3plet, たぶんトリプレット(triplet)と発音する、と思う。〕
ミュージシャンは、3pletのアプリを使って、アルバムのカバーアート(美術、グラフィック)や、バンドと音楽に関する解説文、歌詞、関連コンテンツへのリンクなどをまとめる。アーチストのYouTubeチャネルやソーシャルネットワークも統合される。そうやって出来上がるアルバムアプリは、Android、iOS、Windows Phoneなど、モバイルのすべての主要プラットホームで使える。
アプリは無料で提供され、ユーザはそのアルバム中の1~3曲を無料で聞ける。つまり3pletのアプリは、バンドのためのモバイルのプレゼンテーション制作ツールだ。全曲聴きたくなったユーザは、お金を払って(アプリ内購入で)そのアルバムを買う(10ドルぐらいが多い)。
このサービスによってバンドには、収入を得る方法と、クリエイティブの出力という、二つのもの同時に得られる。3pletによると、そのバンドのコンサートに行くような熱心なファンも、このデジタルアルバムを買うはずだ、という。コンサート会場でCDを売るみたいにして、このアプリを売ってもよいだろう。
エストニアでVlad DavydovとValery Mifodovskyが作ったこのアプリはミュージシャンに、定額のアプリ作成料金と、アルバムのアプリ内購入へのマージンを課金する。
最初のころ3pletは、主にロシア語圏でテストしマーケティングしてきたが、これからは合衆国や西ヨーロッパにも積極的に売っていくつもりだ。今は有名なミュージシャンたちにも売り込んでいるところだが、スター級のアーチストのアルバムはまだほとんどない。3pletは今、MIDEMが主催する音楽スタートアップのコンペMidemlabで、ファイナリストに残っている。優勝すればもちろん、知名度は一挙に上がるだろう。
〔訳注: 一般的に言って、インターネットは印刷に比べてはるかに多様なメディア表現が可能なのに、今日までのインターネット上の音楽提供形式は、印刷時代のアルバムよりもずっとずっと貧しい。なんとか、変わってほしい。〕
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))