元任天堂の2人が起業して、デジタルな壁掛け窓に風景動画を表示するデバイス「Atmoph Window」(アトモフウィンドウ)のKickstarterキャンペーンを開始したとTechCrunch Japanでお伝えしたのは、今から1年ちょっと前のことだった。
その後2015年中にアトモフはKickstarterで約2000万円、Makuakeで約680万円の支援額を達成したほか日本政策金融公庫から3000万円の資本制ローンによる資金調達を実施。さらにこの2016年7月には環境エネルギー投資を引き受け先とする第三者割当増資による1億円の資金調達を行ったことを今日7月11日に発表した。
アトモフCEOの姜京日(かん・きょうひ)氏によれば、すでに初回500台は完売。買い手の半分が日本で、残りはほぼアメリカとヨーロッパだそうだ。風景のない都会の閉塞感を癒やすために「窓」というコンセプトにこだわっている点がユニークなAtmoph Windowだが、「ハワイの個人で3台セットを買ったりと、必ずしも都市部の人が買うだけではない。ハワイのようなところでもいまの景色に飽きているような人も世界に多いと感じています」と姜CEOは話している。27インチモデルが699ドルと価格的には店舗やオフィスでの法人導入が多そうに思えたが、実際には「先行予約は8割くらいが個人。残りは例えばサロンやゲストハウス、オフィスのロビーや会議室などで2、3台セットで買う店舗や法人です」(姜CEO)という。
壁掛けディスプレイに風景やアートを映すという意味では類似プロダクトはすでにある。例えば、Framed*やElectric Objetsはアート作品を映す。ただ、これらは額縁の置き換えで、Atmoph Windowsのように「窓なんです」というものではない。一方、ハードウェアなしで風景映像だけを配信する日本のスタートアップ「LandSkip」は2000箇所の3分間の映像を4Kで日替わりで配信していて法人向けに有料サービスを提供している。YKK APが「Module Window」という「デジタルな窓」というコンセプトを提案したりもしている。