90年代のノスタルジーを感じさせる、コラージュアプリPasted

本日(米国時間12日)iOSでベータ版が公開されたアプリPastedは、のんびりとした時代へと引き戻してくれる。あの頃コラージュを作るにはハサミに手を伸ばしていたものだ。それは過剰に複雑化した写真アプリの世界にうんざりしたX世代たちへのアピールだったり、郷愁を誘うインスピレーションを探そうとするものだ。シンプルさがこのアプリの特徴だ、そして素晴らしいのは、起動時に永遠のインディーズロックの寵児、The Shinsとの関わりが示されることだ。

これは、オレゴン州ポートランド郊外を拠点とするクリエイティブファームSpruced LLCによる初のアプリである。そして本当に、その太平洋北西部の都市の空気をまとった、Instagramの雰囲気を感じさせる。90年代の夢がPastedの上で生きている。そしてこのアプリは、色々なものを寄せ集めて作り上げるのに本当に向いている。

共同創業者たちであるZeke HowardとBen Fogartyによれば、彼らのチームが最初のアプリのためのインスピレーションを探していたときに、ShinsのリードボーカルのJames Mercerがシンプルなコラージュツールのアイデアを持ち込んで来たのだという。

「私はハワイで家族と休暇を過ごしていました、カイルアにBuzzという小さなレストランがあるのですが…」とTechCrunchに語るのはSprucedの50%パートナーであるMercerである。「おそらくそれは50年代から続いている店なのでしょう。いつからともなく、オーナーの全ての常連たちの写真を切り抜いて、1つの古いスタイルのコラージュを作っていたのです」。

そしてそれがアプリのアイデアとなった。本当だ。アプリではカメラロールから好きな写真を1度に好きなだけ何枚でも選ぶことから始まる。そしてアプリが写真をコラージュスタイルに切り抜いてくれる。オープンソースの顔認識技術を使って人間を識別し、その周りを三角形っぽい波立つ形に切り取る。それに失敗した場合は、注目する点を探そうと努力する。

その後アプリはそれらの写真を空白のキャンバス上にばら撒く。そこでページ内で写真を動かしたり、左右にスワイプすることで、アプリにビルトインされたビンテージ、白黒、セピア、Ben-Dayドットなどの9つのフィルターで加工することができる。一方、上下にスワイプすることで、キャンバスの色を8色から選ぶことができる。

操作のシンプルさ。それこそが本当にこのアプリの強みだ。「私は違いはジェスチャーベースのインターフェイスにあると思います」とHoward。「世間の殆どのものはメニューベースで、チュートリアルが用意されていますが、私たちは可能な限りアプリをシンプルに保ちます」。作品を更にカスタマイズするための沢山のステッカーや「Paste Pack」が用意されている。

様々なシェイプや花、そしてサングラスなどを追加して、Lisa Frankの作品のような雰囲気にすることができる。アプリのためのコンテンツパックを売ることによって、収益化も図られている。

アプリには独自のソーシャル機能は組み込まれていない。その代わりに、このアプリは、Instagramのような他のソーシャル・ネットワーク上で、必要なハッシュタグと一緒に共有するためのアートを作り上げるようにデザインされている。「現在の多くのコラージュアプリは、ユーザーに一度に多くのことを要求し過ぎです。私たちのアプリはもっと自然にそれを行います」とFogarty。「そのことで、作業がもっと有機的で自然なものに感じられるようになります」。

Pastedは間違いなくシンプルなもので、あなたがアートアプリの中で正確に何を狙っているかによって、アプリは最高なものにも最低なものにもなり得る。技術的もしくは芸術的知識が殆ど無くとも、理解して始めるのは簡単だ。しかし、この先予定されている全てのフィーチャーパックをもってしても、機能に飢えたユーザーたちの関心を長く保ち続けることは難しいかもしれない。

とは言うものの、この先同社は、シンプルさをどこまで保てるかを示す努力をアプリで重ねながら、アーティストたちの作品に広く光を当てていく活動をする予定だ。

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(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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