サイバーエージェントは10月26日、2016年10月~2017年9月の通期決算を発表した。
売上高は前年比19.5%増の3713億円、営業利益は同16.6%減の307億円となった。営業利益は減っているが、これはAbemaTVに200億円以上を投資しているから。この金額を除く既存事業の営業利益は516億円で、売上高とともに過去最高値を更新している。
まずは今回の決算のサマリーを紹介する。
- メディア事業ではマッチングサービスが好調で、売上高は前年比17.0%増の256億円。AbemaTVへ209億円を投資しているため、営業損益は185億円。
- スマートフォン広告が成長を牽引し、売上高は前年比18.7%増の2081億円、営業利益は同23.5%増の187億円。特にインフィード広告と動画広告を強化。
- 1番利益を稼いでいるゲーム事業の売上高は前年比14.4%増の1403億円、営業利益は同13.0%減の265億円。ブランド力強化の目的で広告予算を前年から60億円増加した。
- 新たな事業領域としては上述したマッチングサービスを強化。会員が250万人を超える「タップル誕生」を含め4つのサービスを提供。加えてesportsや仮想通貨取引事業も展開している。
- 2018年度も引き続きAbemaTVに200億円を投資する方針。AbemaTVは開局1年半で現在のMAU(月間アクティブユーザー)は9月が948万、最高では960万を記録。WAU(週間アクティブユーザー)は500万前後に成長している。
決算がいい時期に、次の柱としてAbemaTVへ投資
ここからはAbemaTVについてもう少し詳しく取り上げてみたい。上述の通り2017年度はAbemaTVに209億円を投資してサービスを育ててきた。
2016年4月の開局から1年6ヶ月が経過し現在は2200万DLを突破。アクティブユーザー数は時期ごとに変動しているもののMAUで約950万、WAUで500万前後までになってきている(昨年末は「フリースタイルダンジョン」、5月は「亀田興毅に勝ったら1000万」の影響が大きい)。
利用者は25〜34歳や18歳〜24歳の若者が中心で、女性が約40%を占める。
2018年度も引き続き200億円を投資する方針で「コンテンツの強化」「広告商品の拡販」「収益の多角化」に取り組む。
中でも最優先するのがコンテンツの強化。「ゴールデンナイン」という名称で毎日夜9時からオリジナルのレギュラー番組を配信するなど、AbemaTVではこれまでも番組作りに力を入れている。先日は安倍総理が生出演して話題にもなった。
11月2日からは元SMAPのメンバー3人が出演する72時間テレビが放送されるほか、「報道STATION」や「羽鳥慎一モーニングショー」などテレビ朝日のニュース番組の配信も進めている。2018年1月からは完全オリジナルの連続ドラマ「#声だけ天使」もスタートする予定だ。
決算説明会の中でサイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏は「WAUが1000万人ぐらいになれば、メディアとしてビジネスモデルが成立する」という話もあったが、AbemaTVでも1000万人のWAUを抱えるマスメディアを目指していく。
世界を見るとNetflixやAmazonプライムビデオなどがオリジナルコンテンツに膨大な予算をかけユーザー数を増やしているが、国内でここまで思い切った投資をしているのはAbemaTVくらい。今後どれほどのユーザーの心を掴んでいけるのか、引き続き注目したい。