オンライン画像をその出典にリンクさせることができるAdobe(アドビ)の「Chain of Custody(CoC)」に関する取り組みが、徐々に実現に近づきつつある。Content Authenticity Initiative(CAI、コンテンツ認証イニシアチブ)の一部であるそのプロトタイプが、いまや至るところで使われている同社の画像編集ソフト、Photoshopのベータ版にまもなく登場する予定だ。
アドビによると、新たなツールのプレビューはPhotoshopとBehanceのベータリリース(Adobeブログ記事)で数週間後にユーザーが利用できる。同社によるとCAIの実装はオープンスタンダードの「初期的バージョン」であり、今後も引き続いて細部が磨かれていく。
このプロジェクトには、複数のアプリケーションがある。その狙いはクリエイターが作るコンテンツにその名前を付けておくための、より堅牢な方法を作ることだ。しかしCAIの最も強力なユースケースは、そのツールが改ざんを防ぐための業界のスタンダードとして使われ、偽情報の拡散に利用されている画像を見つけていくことだろう。
アドビはこのプロジェクトのミッションを、「クリエイティブと消費者の両方の立場を法的に強力にする、全業界的な作品の帰属の枠組みにより、オンラインの信頼と透明性を増すこと」としている。それの結果は、ディープフェイクなどのいかがわしいオンラインコンテンツの拡散を(究極的には)制限できる技術的なソリューションだ。
アドビのCAIのディレクターであるAndy Parsons(アンディ・パーソンズ)氏は、2020年の初めに「ソーシャルサイトのフィードやニュースのサイトを見るとき、本物でないと思われるものをフィルターして排除できるようになる。しかしCAI自身が何らかの判定をすることはない。私たちがやろうとするのは、透明性と検証可能データの層を提供することだけだ」と語っていた。
この考え方は、EXIFデータの改良版でもあるようだ。EXIFは画像にレンズのタイプや撮影した場所などのデータを付けるオプトイン(付けないことも可能)の埋め込みメタデータだ。しかしアドビによると、この新たな帰属のスタンダードはより堅牢であり、データの改ざんは困難である。そのためいずれはデジタルのフィンガープリントシステムでよく見受けるようになり、オンラインの児童搾取などがEXIFよりも見つけやすくなるだろう。
「コンテンツの帰属データ良い善循環を生み出す。多くのクリエイターが正しい帰属データを付けたコンテンツを配布するようになれば、多くの消費者がその情報を期待し利用して真偽の判断ができるようになり、悪者や欺瞞的コンテンツに騙されないようになるだろう」とアドビのデジタルメディア担当シニアディレクターであるWilliam Allen(ウィリアム・アレン)氏はいう。
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画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)