乗用車の高度運転支援システムと自動運転車向けに技術を開発したLiDARスタートアップのAEye(エーアイ)が、20億ドル(約2100億円)で評価され、CF Finance Acquisition Corp. IIIとの合併により公開する。
この合併取引でLiDAR会社がまた1つ、従来のIPOプロセスに代わりいわゆるブランクチェック(白紙小切手)会社またはSPAC(特別買収目的会社)を選んだ。Velodyne Lidarが2020年夏に18億ドル(約1890億円)の市場価値で、特別目的買収会社のGraf Industrial Corp.との合併により公開する計画を発表し、このトレンドの口火を切った。Luminar、Aeva、Ouster、Innovizなど他社もすぐに続いた。
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この取引でAEyeはGM Ventures、Subaru-SBI、Intel Capital、Hella Ventures、Taiwania Capitalを含む機関投資家および戦略的投資家から、PIPE(上場企業の私募増資)で2億2500万ドル(約240億円)を調達できたと述べた。他の非公開の投資家も参加した。この取引を通じて、AEyeの貸借対照表には約4億5500万ドル(約480億円)の現金が計上され、収入にはCantor Fitzgeraldがスポンサーとして入っているSPACのCF Finance Acquisition Corp.IIIからの2億3000万ドル(約240億円)の信託が含まれる。
LiDAR(光検出および測距レーダー)は、レーザー光を使用して距離を測定し、車の周りの世界の高精度な3Dマップを生成する。このセンサーは、新興の自動運転業界の多くから重要かつ必要なツールと考えられている。Velodyneは長い間LiDAR業界を支配し、ほとんどの自動運転車開発会社にその製品を提供してきた。Velodyneから市場シェアを奪うことを目指し、過去数年間に数十のスタートアップが出現し、それぞれがテクノロジーとビジネスアプローチに関して独自のバリエーションを売り込んできた。
過去3年間でLiDAR企業は、自動運転車を商品化するためのタイムラインが長引くにつれビジネスモデルを微調整してきた。スタートアップは自社の認識ソフトウェアについて力説し、センサーを乗用車に適用すれば冗長性が生まれ、運転支援システムの機能が強化できる、またはされるはずだと自動車メーカーに売り込み始めた。
AEyeは自動運転車を超えて重点を拡大しているLIDAR企業の1つだ。同社は公開で調達した資金を主要市場で会社を拡大するために使用すると述べた。AEyeの売りは、同社のLiDAR技術と、ContinentalなどのTier1およびTier2サプライヤーとの提携により規模を拡大し主要な自動車メーカーに採用されるのに適した位置にいるということだ。AEyeのLiDARセンサーは周囲をスキャンし、認識ソフトウェアの助けを借りて、関連する対象物を識別して焦点を合わせる。
自動車、特に乗用車および自動運転車の分野で長期的にADAS(高度運転支援システム)をサポートすることが、AEyeの基本的な市場だ。しかし同社は鉱業、トラック輸送、交通システム、航空、ドローンなど、より幅広い産業およびモビリティアプリケーションを見すえている。
「適切な価格と信頼性で、最終的にLiDARはカメラを備えたすべてのものに含まれると信じています」とCEOのBlair LaCorte(ブレア・ラコート)氏は投資家向けプレゼンテーションで述べた。「消費者および産業用アプリケーションにLiDARが広く採用されるという期待とともに、2030年までに獲得可能な最大市場規模が420億ドル(約4兆4000億円)になると予測しています」。
AEyeはその獲得可能な最大市場規模の初期段階にある。同社は2021年に400万ドル(約4億2000万円)の売上高と5900万ドル(約62億円)のマイナスのEBITDAを見込んでいると語った。同社はセンサーの商業生産を2021年第4四半期に予定しており、それが同社が予測する2022年の売上高1300万ドル(約14億円)に寄与する。同社は2024年までに売上高が1億7500万ドル(約180億円)になると見込んでおり、下半期にはEBITDAがプラスになると述べた。
合併後の会社はAEye Holdings Inc.という社名でNASDAQに上場する。合併取引は2021年第2四半期に完了する予定だ。CEOとしてブレア・ラコート氏、CTOとして創業者Luis Dussan(ルイス・デュッサン)氏、CFOとしてBob Brown(ボブ・ブラウン)氏らが経営陣に残る。
カテゴリー:モビリティ
タグ:AEye、SPAC、LiDAR
画像クレジット:Aeye
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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi)