AIを駆使したOCRツールやチャットボットを開発するシナモンが資金調達

人工知能を利用した文書読み取りエンジンなどを開発するシナモンは2月26日、MTパートナーズ、マネックスグループのマネックスエジソンベクトルRPAホールディングス、および島田亨氏ら複数の個人投資家を引受先とした第三者割当増資を実施した。また、これまで既存株主(名称非公開)が所有していた同社株がD4Vへと譲渡されたことにより、D4Vがシナモンの投資家に加わったことも併せて明らかとなった。

シナモンはOCRツールの「Flax Scanner」やチャットボットの「Scuro Bot」など、自然言語処理を中心とした人工知能関連技術を駆使するスタートアップだ。

同社が主力プロダクトと呼ぶFlax Scannerは、さまざまなビジネス文書から情報を抜き出してデータベース化するためのOCRツール。PDF、Wordファイル、印字・手書きの紙文書などさまざまなフォーマットに対応しており、手書き文字の読み込み精度は95〜98%(本番導入後の実績値)と高い。

Flax Scannerは金融や保険業界を中心に導入されている。導入社数は非公開だが、「数社」程度だという(シナモン COOの家田佳明氏)。また、選択式の会話ではなく、自然言語による会話に対応したScuro Botは、企業の問い合わせ対応や面接時間の設定などの用途で導入されているようだ。

シナモンは今回の資金調達をもとに、AIプロダクトの基盤技術およびUIの強化、組織体制の強化などに注力する。今後の展開について同社は、「『ホワイトカラーの業務効率化』をテーマに、AIプラットフォームとしてのさらなる基盤を築き、業務改善を推進する様々なプロダクトの開発に取り組む。また、シナモンのプロダクトの提供を拡大するパートナー企業と協同することで、より多くの顧客へサービス提供を推進していく」と述べている。

代表取締役の平野未来氏は、東京大学大学院に在学中、携帯電話向けのアプリ開発プラットフォーム「Colors」などの開発で知られるネイキッドテクノロジーを創業。平野氏は2011年に同社をmixiに売却後、2016年10月にシナモンを創業したシリアルアントレプレナーだ。

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TechCrunch Japan

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