今度(東京に)現れた新型ロボットは、Naoみたいに可愛くもなく、SpotやBigDogのように不気味でもなく、Atlasほど人間らしくもないけど、これらのどれよりも実用的かもしれない。二足歩行をするが、それは人間のようでも、熊のようでもない。AlphabetがオーナーであるSchaft Inc.が考えた、独特の動きをするロボットなのだ。
この、まだ名前のないロボットは、日本で行われたNew Economic Summit(新経済サミット)のステージ上を誇らしげに歩き、Schaftの協同ファウンダーYuto Nakanishiと共に、笑顔の群衆に対面した。次に上映されたビデオに登場したロボットは、ステージ上のロボットと同じものではなかったが、機能はほぼ共通していた。
いちばん重要なのは、その歩行システムだろう。人間の足並みは複雑にコントロールされる上下運動だが、このロボットの足(脚)は可撓部のない剛体で、レールのように上下にスライドする。
したがって物を持ち上げたりするときの、曲がる(しゃがむ)動作がない。上部のジョイントにより脚は斜めに突き出され、底部の“関節”が凸凹の地面でも安定性を提供する。電池とモーターは両脚のあいだにあり、低い重心に貢献している。
ロボットが動き回るための方法としては、とても効率的に見える。ビデオではロボットが、森の中や、岩だらけのビーチ、雪原、それにED209(エド・ツーオーナイン)やDalek(ダーレク)たちの弱点である階段すらも歩きまわる。階段を上(のぼ)りながらRoombaみたいなブラシで各段を掃除するやつもいる。Atlasにも、やらせてみたいね。
人間の捕獲者が仕掛けた金属の棒の上でも、滑ったり転んだりせずに、十分に敏速に動き回る。Skynetが本当に人類を滅ぼし始めたときにはきっと、昔見たこのビデオのことを思い出すだろう。
このロボットには腕がないし、掌(てのひら)のような握る部分もない。上にバーベルが載っているプロトタイプもあるから、物を持ち上げて運ぶことはできるのだろうが、荷台や操作部はない。このロボットの設計目的がほかにあるのか、それとも、今回は歩行をデモすることだけが目的で、他の機能や装具を装備してないだけなのか。
終始曖昧な書き方で申し訳ないが、なにしろ具体的な情報は乏しいのだ。Schaftは2013年にGoogleに買収され、その後音沙汰がなかったが、DARPAのRobotics Challengeでは優勝した。同社は今、Webサイトすらなく、その操業内容とプロジェクトはAlphabetのX部門の中で厳しく守秘されている。
この記事の素材はすべて、東京のロボットライターTim HornyakとRakutenのツイートで、XがIEEE Spectrumに載せた記事も参考にしている。その記事は、“製品の発表でも、具体的な製品のロードマップでもない。ただ単純に、進捗の現段階をお見せできたことを、嬉しく思っている”、と声明している。
本誌はこの隠密ロボットメーカーに情報を求めているが、彼らのこれまでの3年と次の3年が同じなら、多くは期待できない。この革新的なロボットは、今後もっと社会への露出度を大きくすべきだし、今後も秘密のままキープするのは、もったいない。