Amazon、宣言通りインセンティブ付きレビューの大量削除で評価システムの信頼回復を図る

Amazon, the US e-commerce and cloud computing giant is said to hire 1,000 people in Poland. The company already hires almost 5,000 people in Poland and has service centers in Gdansk, Wroclaw and Poznan ON 14 April 2016. (Photo by Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images)

Amazonはインセンティブ付きレビューを同社のウェブサイトから禁止し、宣言通りにレビューを削除している。3万2000以上のプロダクトに渡る6500万のレビューの分析結果からそのことが分かった。プロダクトに対する不当に高い評価が横行し、信頼できないレビューが蔓延した問題を解決するため、Amazonはインセンティブ付きレビューの禁止に至った。

インセンティブ付きレビューとは、ベンダーがレビュアーに割引価格、あるいは無料でプロダクトを提供する代わりにAmazonで「誠実な意見」を書くことを依頼したレビューのことだ。データを見ると、インセンティブを受け取るレビュアーは、プロダクトに対して良い評価を与える傾向にある。インセンティブ付きレビューの評価の平均は5つ星中4.74だが、インセンティブなしのレビューの平均は4.36だ。

Amazonのサイトではこうしたインセンティブ付きレビューの数が増え、レビューシステム全体の信頼を脅かしていた。コンシューマーの購入判断にも影響を与える問題だ。

数百万件のレビューを解析し、コンシューマーが信頼できるレビューを見つけるツールを提供するReviewMetaの最近の調査結果によると、Amazonはインセンティブ付きレビューを速やかに削除していることがわかった。過去のレビューにも遡って削除しているようだ。

Amazonがインセンティブ付きレビューの禁止を発表した時、同社は長く掲載されているプロダクトの「過度」なインセンティブ付きレビュー、あるいは従来のポリシーに準拠しないレビューのみを削除すると伝えていた。

しかし、どうやらAmazonは古いレビューの多くも削除しているようだ。

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2016年8月1日以降の日毎のインセンティブ付きレビューの割合

ReviewMetaは自社のデータセットにある、すべてのカテゴリーに渡る3万2060のプロダクトのおよそ6500万件のレビューを解析し、Amazonの動向を調べた。

ReviewMetaの調査によると、Amazonは50万件のレビューを削除している。そのうち71%がインセンティブ付きレビューだった。削除したレビューの平均評価は4.75星であり、明らかに通常の評価の平均より高い。いくつかのプロダクトからは数千件単位でレビューを削除していた。例えば、この美容用スクラブからは9000件のレビューが消えた。

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2016年8月1日以降の全てのレビューの平均評価推移

次にReviewMetaは2週間かけてサブセットを解析し、Amazonのサイトにどれだけインセンティブ付きレビューが残っているかを調べた。

1000万件のレビューを解析したところ(ReviewMetaのウェブサイトに参加しているコンシューマーのデータセットによる)、全体のレビューのうちたった1.5%がインセンティブ付きレビューだった。

「これは以前よりはるかに少ない数です」とReviewMetaのCTOを務めるTommy Noonanは言う。「私たちがAmazonで検出したインセンティブ付きレビュー1件あたり、データベースから2.6件のレビューが削除されていました」と削除済みのレビューの件数について話す。

この数字は、Amazonは大量のインセンティブ付きレビューを削除しているが、全てを見つけ出せたわけではないということを示しているのだろう。Amazonはインセンティブ付きレビューを禁止しているが、まだそうしたレビューがAmazonに流れ込んでいるのが原因だと考えられる。

とはいえ、禁止以降インセンティブ付きレビューの数は大幅に少なくなり、その結果全てのレビューの平均評価は低くなった。例えば、インセンティブ付きレビューを禁止する前日の全てのレビューの平均評価は4.73だったが、11月1日の平均評価は4.65までに下がっている。

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興味深いのは大量のレビューを削除しているが、Amazonのプロダクトの総合評価の大部分には影響がほとんどなかったことだ。プロダクトの総合評価とは、Amazonがコンシューマーに「このプロダクトの評価は 5つ星のうち 4.5」と伝える評価のことだ。この総合評価では、インセンティブ付きレビューの評価の重み付けが軽くなるように調整している。

「Amazonのプロダクトの総合評価では、インセンティブ付きレビューの多くは総合評価に影響を及ぼさないよう調整されています」とNoonanは言う。

インセンティブ付きレビューのほとんど(95%)には「承認済み購入者」のタグが付いていないのが主な要因だという。このタグはAmazonからプロダクトを直接購入したユーザーを示している。これまでも未承認のレビューはAmazonの評価システムで総合評価に影響を与えない仕組みだった(ただ、プロダクトについているレビューがそれしかない場合は、総合評価にも加味される)。

Noonanは、Amazonのインセンティブ付きレビューの禁止により、問題を十分に抑えることができていると結論づける。

「100%完璧ではないでしょう。しかし、Amazonはインセンティブ付きレビューの大半を取り除き、今後新たにそのようなレビューが付くことを止めることができていると言えます。レビュー業界の息の根を効果的に止めることができました」と彼は話す。

画像: Jaap Arriens/NurPhoto/Getty Images

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website