Amazonは米国外での主要マーケットであるインドでディスラプトしたい次のビジネスを見定めた。オンラインの映画チケット販売だ。eコマースの巨人は11月2日、Amazon Indiaのショッピングサイトとアプリに映画予約機能を導入するために、インドのオンライン映画チケット大手であるBookMyShowと提携したと発表した。
今回の動きの前にAmazonはインドで航空券の予約サービスの提供を開始していて、支払いサービスAmazon Payをスーパーアプリにするのを急いでいる。これはインドのような新興マーケットのプレイヤーによって加速度的に展開されている戦略だ。
11月2日から、インドのAmazonユーザーはショッピングサイト「ショップ・バイ・カテゴリー」の中にある「映画チケット」で、あるいはAmazon Payタブを通じて映画のチケットを予約できる。
マーケットシェアを得るため、Amazonはインドのクレジットカードユーザーによる映画チケット購入で2%をユーザーにキャッシュバックする。またこれとは別に、11月14日までチケット購入ごとに200ルピー(約310円)のキャッシュバックも行う。
AmazonもBookMyShowも、このキャッシュバック費用を誰が負担するのかは明らかにしなかった。しかし、Amazonがインドに抱える数百万の顧客にアクセスするためにBookMyShowがAmazonにいくらか支払うのは大いにあり得る。
航空チケットサービスに関しては、Amazon IndiaはCleartripと提携した。CleartripのSVP、Balu Ramachandran(バル・ラマチャンドラン)氏は以前TechCrunchとのインタビューで、同社がAmazonに販促費を払っていると話したが額は明らかにしなかった。Amazon Indiaの広報は、5年契約の提携に伴う支払いなどについてのコメントを却下した。
従業員1400人を抱えるBookMyShowは毎月1500万枚のチケットを販売している。650超もの市町村で展開されているBookMyShowは、積極敵に資金調達を進めているPaytmを最大のライバルの1つとみている。3年前に映画チケット販売業界に参入したPaytmは、チケット購入のたびにキャッシュバックを提供することでBookMyShowのマーケットシェアを奪ってきた。
今年3月に発表されたEY-FICCIのレポートによると、インドにおけるメディアエンターテイメント産業は239億ドル(約2兆6000億円)規模だ。レポートでは、ウェブ上での消費者支出が急増していることが指摘されている。インドの大手4社が近年販売したチケットの50%超がウェブでのものだった。
BookMyShowの創業者でCEOのAshish Hemrajani(アシシュ・ヘムラジャーニ)氏は「今回の提携ではAmazon Indiaが深く浸透している地方都市にアクセスすることができるようになる」と語った。
Amazon PayのディレクターであるMahendra Nerurkar(マヘンドラ・ネルーカー)氏は「本日の提携はAmazonの『買い物、料金支払い、サービスの検索など、あらゆる面で顧客の暮らしをシンプルにする』取り組みを示している」と話した。
先月にAmazonは、Amazon Payユーザーが携帯電話料金やインターネット通信費、光熱費などをAlexaを通じて支払うことができる新機能を導入した。Amazonがこうした機能を導入するのは全マーケットで初めてとなる。そして同様の機能を数カ月以内に米国でも展開する計画だ。
Amazonは支払いのサービスを密かに拡大してきた。インドでは地元金融機関が支援するUPI支払いインフラを用いて構築されている。グローバルでのライバル、GoogleやWalmartは支払いのための独立したアプリを展開し、そして顧客間の取引にフォーカスしている。それとは異なり、AmazonはPayをeコマースに統合し、消費者・事業者間の取引にフォーカスしている。
Amazonは人気のあるインドのオンラインサービスのいくつかとタイアップし、Amazon Payの活用を促進するために頻繁にキャッシュバックを展開している。今週初め、Amazonはインドでの事業に6億3400万ドル(約690億円)を投入した。
画像クレジット: INDRANIL MUKHERJEE / AFP / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)