eコマースとクラウドの大企業が展開する音楽ストリーミングサービスのAmazon Musicは、SpotifyやApple Musicと競争を展開しているが、1月22日にマイルストーンを達成したと発表した。月15ドル(約1600円)の有料サービスから広告が入る無料のサービスまで、6つの価格設定があるAmazon Musicの利用者が5500万人を超えたのだ。
この数字は、2016年10月にサービスを開始したAmazon Musicにとって力強い成長を示すものだ。しかし消費者を引きつけて購読につながるストリーミングサービスにするという大きなレースにおいては、Apple MusicとSpotifyの後塵を拝している。Apple Musicは昨夏、有料会員が6000万人を超えたと発表した(以来データはアップデートされていない)。そしてSpotifyは直近の四半期のグローバルユーザー数が2億4800万人、うち有料のユーザーは1億1300万人だったと発表している。
TechCrunchから問い合わせているが、Amazonは価格設定ごとのユーザー数を明らかにしていない。もし情報が入ったらアップデートする。Amazonによると、米国、英国、ドイツ、日本で、楽曲5000万曲のHD品質トラックが含まれるAmazon Music Unlimitedを購読するユーザー数が50%超増えた。またAmazon Musicは利用できるがHD品質トラックは提供されていない国としてはフランス、イタリア、スペイン、メキシコがあり、これら4カ国ではユーザー数が2倍超になったとした。ブラジルでも最近サービスの提供を開始した。
「この素晴らしいマイルストーンを達成できたことを誇りに思うと同時に、Amazon Musicに対する顧客の反応に圧倒されている」とAmazon Musicの副社長であるSteve Boom(スティーブ・ブーム)氏は声明文で述べた。「我々の戦略はユニークで、Amazonで行うすべてのことは顧客とともに始まる。我々は他にはない選択肢を常にリスナーに提供することで音楽ストリーミングのマーケットプレイス拡大に注力してきた。というのもリスナーはそれぞれのニーズを抱えていることを我々は知っているからだ。Alexaと、Amazon Music HDを活用した高品質オーディオに投資を続けていて、2020年以降も顧客や音楽産業にさらなるイノベーションをもたらすことを楽しみにしている」。
他のAmazon製品やサービスと同様、Amazonは既存客への組み合わせ販売で音楽を提供している。具体的には、Prime会員になっている人あるいはPrime加入を検討している人向けの提供がある。この組み合わせ販売にはスケールメリットが働く。または、1つの請求書であらゆるサービスを利用できるという利便性に満足している消費者をターゲットにしたものもある。Prime会員向けの割引は有料購読を検討している人にとっては魅力的な蜜となる。
Prime会員では、個人でのUnlimitedサービスの購読を月額7.99ドル(約880円)、年額79ドル(8700円)、そしてファミリープランで割引を受けられる。同様にFire TVやEchoなどデバイス1台に限定して購読する人の月額料金は3.99ドル(約440円)となる。広告が入るサービスには「トッププレイリストと何千ものステーションの無料利用」が含まれるとAmazonは述べた。
ストレージやビデオ、読み物、ゲームなどAmazonのメディアサービスの「まとめ売り」はアップルも追随しているモデルだ。App Storeにあるサードパーティのアプリのものと併せて、自前のコンテンツでも商品を作っている。一方でSpotifyは、音楽やオーディオにより重きを置いたアプローチをとっていて、ビデオなどではユーザーを引き付けていない。直近の四半期決算でSpotifyは、マーケットでの自社の位置とライバルのサービスの影響を次のように語った。
「我々は引き続きこのマーケットで競争することを前向きにとらえている。Appleとの比較では、1カ月で増やしている購読者の数はAppleの数字のおおよそ2倍であることが一般的に利用可能なデータで示されている。加えて、月間使用量も2倍ほどで、顧客が離れる率は半分だ。そのほか、我々の試算では弊社はAmazonよりもユーザーベースを増やし続ける。我々のデータではまたアマゾンのユーザーベースが『プレミアム』よりも『広告入り』に偏っていて、我々のプラットフォームの平均使用量がAmazonの3倍ほどであることもわかっている」。
しかしながらAmazonはこれに反論している。同社の広報は「顧客5500万人の大半は有料サービスを利用している」と述べた。
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(翻訳:Mizoguchi)