AMD Ryzenモバイル搭載を期待したくなる?さらに完成度を高めたデルの13.4型モバイル「New XPS 13(9300)」

完成度を高めさらに小型化した13.4型モバイル「New XPS 13」(9300)

モバイルノートPCを選ぶ際のポイントはいくつかあるが、見た目の良さと持ち運びやすさを重視するならDell(デル)のNew XPS 13(9300)がお勧めだ。アルミ製でシャープなデザインの本体は質感が素晴らしく、その上サイズはA4用紙よりも小さい。機動性と完成度の高さが魅力のモデルだ。

完成度を高めさらに小型化した13.4型モバイル「New XPS 13」(9300)

今回試用したNew XPS 13 プラチナ(UHD+ タッチ・フロスト)。販売価格は税別17~18万円台

驚くほどコンパクトで高品質なボディ

New XPS 13(9300)を手にしてまず目を引くのが、より小型化した本体だ。フットプリント(設置面積)は幅296×奥行き199mmで、サイズ感としてはA4用紙(幅297×奥行き210mm)よりも短辺が1cm短い程度。13インチクラスとしては驚くほど小さい。1代前のモデル(XPS 13 7390)もかなり小さかったのだが、最新モデルでは幅が6mm減っている。ディスプレイが13.3インチから13.4インチへ大型されたにも関わらず、フットプリントは小型化されているのだ。ディスプレイを閉じた状態なら、12インチクラスのノートPCと見間違うかもしれない。

フットプリントは幅296×奥行き199mm。A4用紙よりもひと回り小さい

フットプリントは幅296×奥行き199mm。A4用紙よりもひと回り小さい

12.3インチのSurface Pro 7と変わらない大きさ

12.3インチのSurface Pro 7と変わらない大きさ

狭額縁デザインを採用することで、フットプリントの小型化を実現している

狭額縁デザインを採用することで、フットプリントの小型化を実現している

ディスプレイのベゼル幅は実測で左右4.1mm、上部6.2mm。非常に細い

ディスプレイのベゼル幅は実測で左右4.1mm、上部6.2mm。非常に細い

前面(上)と背面(下)。高さは実測で14.9mm、底面部のゴム足を含めると16.9mmm

前面(上)と背面(下)。高さは実測で14.9mm、底面部のゴム足を含めると16.9mmm

重量は実測で1.274kg

重量は実測で1.274kg

本体の質感も非常に高い。スリムでソリッドなアルミ製のボディは、まるで抜き身の刀を思わせるほどシャープな印象だ。本体カラーは、プラチナシルバーとフロストホワイトの2色。今回試用したのはフロストホワイトのモデルで、透明感のあるさわやかな色合いが特徴だ。パームレストにはグラスファイバー(プラチナシルバーモデルはカーボン)が使われており、ファブリック素材のような手触りが心地よい。全体的な仕上がりは上々で、ほかのモバイルノートPCに比べてワンランク上の高級感がある。

フロストホワイトの本体カラー。光の当たり方によってはライトシルバーのようにも見える

フロストホワイトの本体カラー。光の当たり方によってはライトシルバーのようにも見える

プラチナシルバーのカラー

プラチナシルバーのカラー

防汚処理が施されたグラスファイバーのパームレスト

防汚処理が施されたグラスファイバーのパームレスト

プラチナシルバーのモデルではブラックのカーボンファイバーが使われている

プラチナシルバーのモデルではブラックのカーボンファイバーが使われている

側面はシルバーで、ヘアライン加工が施されている

側面はシルバーで、ヘアライン加工が施されている

底面部の排気口はディスプレイを開くとヒンジで隠れるデザイン

底面部の排気口はディスプレイを開くとヒンジで隠れるデザイン

底面部はシンプルな作り

底面部はシンプルな作り

アスペクト比16:10のディスプレイを採用

XPSシリーズでは2019~2020年にかけて、ディスプレイのアスペクト比を16:10に移行している。New XPS 13(9300)の解像度は1920×1200ドット(FHD+)および3840×2400ピクセル(UHD+)で、一般的な16:9のアスペクト比によりも縦幅が長い。その差はわずかだが、情報量が増えることで作業効率は多少アップするだろう。

液晶ディスプレイのサイズは13.4インチ。アスペクト比16:10、解像度3840×2400ピクセル(UHD+モデル)

液晶ディスプレイのサイズは13.4インチ。アスペクト比16:10、解像度3840×2400ピクセル(UHD+モデル)

UHD+モデルでは文字のドット感がないため文章を読みやすい

UHD+モデルでは文字のドット感がないため文章を読みやすい

映像の色合いは非常に美しい。特に今回試用したUHD+ディスプレイのモデルはコントラストが高く、映像は明るく鮮やかだ。公称値では明るさは500nitで、色域はDCI P3カバー率90%とのこと(FHD+モデルはsRGBカバー率100%)。VESA認定DisplayHDR 400もサポートしているという。映像系のクリエイティブ用途にも利用できるクオリティーだ。

明るく色鮮やかな映像

明るく色鮮やかな映像

軽いタッチ向けのキーボード

キーボードはバックライト対応で、テンキーはなし。標準では日本語配列だが、購入時のオプションで英字配列に変更できる。配列の変更に追加料金は必要ないが、納期の早い「即納」モデルでは英字配列に変更できない点に注意していただきたい。

キーピッチは横19mmで縦18mm。わずかに横長だが、実際に使ってみると違和感はない。配列には一部変則的部分があるものの、概ねクセのない配置・サイズだ。ただしキーストロークが実測で1.1mm程度と非常に浅い。固めのクリック感があるので手応えはしっかり感じられるものの、キーを押している最中に途中で止まるような感覚を覚えた。タイプ感はプチプチとした独特の感触。軽いタッチで入力する人なら違和感はないだろう。

試用機のキーボードは日本語配列。キーピッチは横19mm、キーストロークは約1.1mm

試用機のキーボードは日本語配列。キーピッチは横19mm、キーストロークは約1.1mm

キーボード右上に指紋センサー内蔵の電源ボタン

キーボード右上に指紋センサー内蔵の電源ボタン

インターフェースはThunderbolt 3(USB Type-C)×2のみ

周辺機器接続用の端子類はThunderbolt 3(USB Type-C)×2と3.5mmヘッドホン端子のみだ。このほか、microSDカードスロットを搭載している。ノートPCとしては極端に少ないものの、モバイル用途中心であれば困る場面はないだろう。据え置きで利用するなら、映像出力や有線LAN、フルサイズのUSB端子などに対応したType-Cハブを別途用意したい。

側面の端子類

側面の端子類

Usb Type-C to Type-Aアダプターが付属

Usb Type-C to Type-Aアダプターが付属

付属の電源アダプター。重量は230gで非常にコンパクト

付属の電源アダプター。重量は230gで非常にコンパクト

問題なく使えるパフォーマンス

New XPS 13(9300)ではCPUとして、インテル第10世代(Ice Lake)のCore i5-1035G1またはCore i7-1065G7が使われている。メモリー容量は8/16/32GBで、ストレージは256GB/512GB/1TBの構成だ。グラフィックス機能としてはCPU内蔵のUHD Graphics(Core i5)またはIris Plus Graphics(Core i7)を使用する。

CPU性能を計測するベンチマークテストを試したところ、同じCore i7-1065G7の平均値(1625)を下回る結果となった。ただし筆者が以前に同じスペックの機種でテストを行なったときは「1721」と高いスコアが出ていたので、個体差の影響が現われているのかもしれない。今回の結果的には可もなく不可もなくといったところだ。

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH R20」の結果

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH R20」の結果

PCを使った作業の快適さを計測する「PCMark 10」では、「Essentials(一般利用、目標値4100)」、「Productivity(ビジネス利用、目標値4500)」、「Digital Contents Creation(コンテンツ制作、目標値3450)」のすべてのテストにおいて、快適に使えることを表わす目標値を超えている。ただし個人的には、思ったほどスコアが伸びない印象だ。別の機種ではもっと高い結果が出ているので、試用機の問題や個体差の可能性はある。

「PCMark 10」ベンチマーク結果。「Essentials(一般利用、目標値4100)」、「Productivity(ビジネス利用、目標値4500)」、「Digital Contents Creation(コンテンツ制作、目標値3450)」のすべてのテストにおいて、快適に使えることを表わす目標値を超えている

「PCMark 10」ベンチマーク結果。「Essentials(一般利用、目標値4100)」、「Productivity(ビジネス利用、目標値4500)」、「Digital Contents Creation(コンテンツ制作、目標値3450)」のすべてのテストにおいて、快適に使えることを表わす目標値を超えている

ストレージのアクセス速度は全体的には優秀ではあるものの、シーケンシャルライトがいまひとつな結果だった。とは言え実際に使ったところ特に遅く感じることはなく、キビキビと動作していた。

「CrystalDiskMark」による512GB SSD(PCIe 3.0 x4接続)のアクセス速度

「CrystalDiskMark」による512GB SSD(PCIe 3.0 x4接続)のアクセス速度

バッテリー駆動時間は実測で8時間39分

バッテリー駆動時間は、公称値としては公開されていない。そこで「PCMark 10」を使って最大パフォーマンス時の駆動時間を計測したところ、8時間39分でバッテリー切れとなった。モバイル用としては長くはないものの、これはバッテリー消費が大きいUHD+ディスプレイを搭載しているため。

FHD+モデルであれば筆者が過去に行なった同じテストで11時間50分という結果が出ている。最近の機種としては特別長いわけではないものの、フルパワーで連続8時間または11時間であれば十分といっていい。バッテリー駆動時間を優先するのであれば、UHD+ディスプレイではなくFHD+モデルを選択するようお勧めしたい。

「PCMark 10」の「Battery」-「Modern Office」によるバッテリー駆動時間の計測結果

「PCMark 10」の「Battery」-「Modern Office」によるバッテリー駆動時間の計測結果

デザインと持ち運びやすさ含めた総合面はトップクラス。AMD Ryzenモバイル搭載も期待したくなる?

今回は試用機の個体差による影響のためか、ベンチマークテストの結果はあまり振るわなかった。ほかの個体であれば、高いパフォーマンスを期待していいだろう。

ただし、ノートPC一般において、現在はAMDの第3世代Ryzenモバイルを搭載した機種のほうがベンチマークテストで高い結果が出ており、インテル製CPUは大きく遅れを取っている状況だ。

第3世代Ryzenモバイル4000シリーズ(Renoir)上位のRyzen 7 4700Uであれば、内蔵グラフィックス性能でもCore i7-1065G7を大きく上回っている。その点を考えると、パフォーマンス面ではNew XPS 13(9300)を選ぶメリットは少ない。New XPS 13(9300)自体の完成度が高いだけに、Ryzenモバイル搭載モデルの登場も期待したくなる。

インテル製CPU搭載のメリットとして挙げられるのはThunderbolt 3に対応している点で、外付けのGPUボックスを使えばグラフィックス性能を大きくパワーアップできる。据え置きでクリエイティブな作業で使うのであれば、インテル製CPUを搭載した機種のほうが有利だ。

繰り返しになるが、New XPS 13(9300)の仕上がりの素晴らしさは、数あるモバイルノートPCの中でもトップクラスの出来映えだ。スリムかつコンパクトで、質感が非常に高い点が魅力といえる。優れた映像品質に優れている点も見逃せないだろう。ストレスなく使える高品質なモバイルノートPCを探している人にお勧めできるモデルなのだ。

完成度を高めさらに小型化した13.4型モバイル「New XPS 13」(9300)

カテゴリー:ハードウェア

タグ:Dell レビュー

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TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。