Apple、追徴課税130億ユーロの支払開始――ダブルアイリッシュは不当とEC認定

この紛争は何年も続いてきたが、結局、Appleはアイルランド政府から不当な優遇を受けていたと認定された分について未納の税の支払を開始した。同社はすでに1.5億ユーロ〔1958億円〕)をこの支払に充てるエスクロ口座に入れている。Appleが支払うべき追徴課税の総額は130億ユーロ〔1.7兆円〕に上る。

2016年8月にEC〔欧州委員会〕は、Appleは2004年から2014年にかけてアイルランドで違法な税制上の利益を得ていたと認定した。競争政策担当委員、Margrethe Vestagerは、「Appleはダブル・アイリッシュと呼ばれる仕組みを利用して実効税率を著しく下げていた」と述べた。

ダブル・アイリッシュはアイルランドに2つの異なる法人を設立し、他国で挙げた利益をそれらの会社に付け替えることによって最終的に企業の利益にかかる税率を低くする手法だ。Appleだけでなく多くのアメリカハイテク企業が多数の巧妙な節税スキーム利用している。Appleはこうした手法になんら違法性はないと主張してきた。

アイルランド政府はこの認定に異議を唱えたが、ECの裁定が覆ることはなく、アイルランド政府は2017年から総額130億ユーロに上る金額を追徴課税せざるを得ないこととなった。

ところが支払はなされなかった。

そこでVestagerは怒り、問題を欧州裁判所に持ち出した。このときVestagerはAppleではなくアイルランド政府を訴えた。

この裁判でもVestagerの主張が維持され、Appleは渋々未納税額の支払を開始した。Appleにとって不運なことに、ここ数年のドル安で決定が行われた当時より支払額は上昇している。Appleは数千億ドルの利益の相当部分をキャッシュで海外に持っている。

EUの各国は2014年にダブル・アイリッシュ、ダッチ・サンドイッチなどと呼ばれる仕組みを違法とするよう強くロビー活動を行った。これと時を同じくして、Appleは海外に持つキャッシュを英仏海峡に浮かぶ小さな島、ジャージー諸島に付け替え始めている。

EUでは税制を大幅に改正し、ハイテク大企業が加盟各国で上げた実際の利益に課税することで抜け穴を塞ごうとしている。これが実現するとハイテク企業は利益を税率の低い国に移して節税することができなくなる。しかしこの税制改革に消極的な加盟国があるため、推進派が望むほどの進捗状況にないのが実情だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+