Bloombergが報じた最新の噂によれば、Appleは現行iPhoneの指紋認証システムを廃止する可能性があるという。その代わりにユーザーの顔を認識する新しいアンロック・テクノロジーが採用されるのだという。これが事実であれば、2013後半以来、Appleのテクノロジーの重要な柱の一つなってきたTouch IDから離れるという方向への動きとなる。
今年後半に発表されると見られているiPhone 8をめぐる推測の重要な部分がTouch IDとホームボタンがどうなるかだ。これまでの噂ではAppleはSamsungが今年Galaxy S8で採用したものに似たハプティック・テクノロジー〔触覚技術〕を応用したボタンをテスト中だされていた。これについてはAppleが関連する特許を取得していたことが最近明らかにされている。ただし特許取得と現実の製品の機能の間には相当の隔たりがあるのも事実だ。
台湾のKGIのアナリストでこれまでもApple製品に関する優れた情報をたびたび提供してきたMing-Chi Kuo〔郭明錤〕は「顔を3Dスキャンするユーザー認証」も追加される可能性があると、この3月のレポートで述べていた。これはAppleが組み込み用3Dカメラを大量に買い付けているという情報に合致するものだ。一方でAppleは3Dセンサーの企業、PrimeSenseを2013年に買収している。
もちろん3Dセンサーに注力しているのはAppleが全社を挙げてAR〔拡張現実〕化を図っていることの一環でもある。 しばらく前からティム・クックはARテクノロジーに関して強気の発言を繰り返している(ARに強気なあまりVR〔仮想現実〕が棚上げぎみという感もある)。いずれにせよ、WWDCでAppleは華々しくARKitのデモを行った。この開発プラットフォームを利用する3Dハードウェアが追加されることはAR化へのさらなる追い風となるだろう。顔認証というのもこのテクノロジー非常に大きな応用となる。
次期モデルがiPhone登場以来10年の節目に当たることからAppleでは何か大きな新機能を用意しているはずだ。iPhone 7が感圧センサーとハプティック・テクノロジーを応用したホームボタンを採用したのよりずっと大きい変化が期待されている。最近の情報ではベゼルをほとんどなくした全面ディスプレイの採用とか指紋センサーの追放とかがあるのではないかと推測されている。
たしかに3Dセンサー・テクノロジーは現在のいろいろな問題を解決するのにも役立つ。またAppleが赤外線センサーをiPhoneに採用するという噂もかなり前から流れている。可視光線だけに頼らずに周囲を認識できるようになれば、現在Appleを悩ませている多くの問題が解決されるかもしれない。
しかし「顔認証は依然テスト中であり次期アップデートでは採用されない」という情報もある。新テクノロジーの構成要素はこれまでも部分的に採用されてきたものの、「全面的に製品化するには時期尚早」だという。Appleはこれまでのアンテナゲート〔無線接続が途切れる〕やベンドゲート〔本体が曲がる〕などの問題で苦労してきた―もっとも去年SamsungがNote 7のバッテリー問題で直面したような深刻な事態ではなかったが。
3Dスキャンによる顔認証は2Dベースのテクノロジーと比較すれば偽造などによるハッキングは困難だろう。 しかしAppleがコマースその他金銭の支払いに直接関連するような分野への応用を急ぐことは当分ないはずだ。新認証方式の問題点が洗い出され、修正されるまでAppleは相当期間にわたってTouch IDも保持し続けるものと思われる。
この件に関してわれわれはAppleにコメントを求めている。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)