Apple、iPhone 6効果で2014年Q4スマートフォン販売台数がSamsungを上回る


2014年をスマートフォン売上が10億の大台を超えた年とするなら(正確には12億台、携帯電話全体では19億台)、第4四半期は、Samsungが2011年以来初めて部門世界1位の座を奪われた四半期として記憶されるだろう。本日(米国時間3/2)Gartnerは、2014年通年および第4四半期のスマートフォン売上データを公開し、時の王者がAppleであることを示した。

Q4のスマートフォン総売上台数3.675億台の中で、iPhoneは7500万台を売り、Samsungの7300万台を上回った。両者の差はさほど大きくないように感じるが ― 割合にして0.5%の違い ― 二社が逆転したことの意味は大きい。

1年前、SamsungはAndroidベースのGalaxyラインを筆頭に8300万台を売ったのに対し、Appleはわずか5000万台だった。Samsungの市場シェアはこの1年で10ポイント下がった。そしてiPhone 6の発売で様相は変わった。

2014年Q4世界スマートフォン販売台数/メーカー別(×1000台)

会社名 2014年Q4台数 シェア (%) 2013年Q4台数 シェア (%)
Apple 74,832 20.4 50,224 17.8
Samsung 73,032 19.9 83,317 29.5
Lenovo* 24,300 6.6 16,465 5.8
Huawei 21,038 5.7 16,057 5.7
Xiaomi 18,582 5.1 5,598 2.0
その他 155,701.6 42.4 111,204.3 39.3
合計 367,484.5 100.0 282,866.2 100.0

Source: Gartner (March 2015) *Lenovoの数値には、LenovoおよびMotorolaの携帯電話が含まれる。

「Samsungはスマートフォンシェアの維持に苦闘を続けており、2013年の第3四半期が絶頂だった。この下降傾向は、Samsungの利幅の大きい高級スマートフォンユーザーのシェアに大きな圧力がかかっていることを示している」とGartnerの主席アナリスト、Anshul Guptaは書いている。

事実、利益は携帯端末メーカーの業績を測る重要な指標だ。Strategy Analyticsの分析によると、AppleはQ4のスマートフォン利益の90%近くを占めている。

同四半期、他に大きな動きを見せたのはLenovo、Huawei、およびXiamiだ。Xiaomiは前年同期から売上台数を3倍以上に伸ばし、Q4の1860万台は、Huaweiの2100万、Lenovoの2400万台に迫る勢いだ。しかし、3社を合わせても、SamsungやAppleのシェアに及ばない。

2014年通年のデータを見ると、Samsungの問題が、Appleの2つのiPhone 6モデル発売の打撃を受けた直後に始まっていることがわかる。Samsungは年間3.076億台の端末を売り24.7%のシェアを確保したのに対し、Appleは1.914億台、15.4%だった。

2014年世界スマートフォン販売台数/メーカー別(×1000台)

会社名 2014年台数 シェア (%) 2013年台数 シェア (%)
Samsung 307,597 24.7 299,795 30.9
Apple 191,426 15.4 150,786 15.5
Lenovo* 81,416 6.5 57,424 5.9
Huawei 68,081 5.5 46,609 4.8
LG Electronics 57,661 4.6 46,432 4.8
その他 538,710 43.3 368,675 38.0
合計 1,244,890 100.0 969,721 100.0

Source: Gartner (March 2015) *Results for Lenovo include sales of mobile phones by Lenovo and Motorola.

ではSamsungが再び逆転するためにはどうすればよいか。Gartnerは、より独自なアプローチが必要だという。それはAppleや、Xiaomiのように改変Android端末に取り組んでいるOEMと同様だ。

「Appleが高級機市場を支配し、中国メーカーが益々質の高いハードウェアを低価格で提供する中、Samsungがユーザーを引きつけ、ハイエンド市場で長期的差別化をはかるとすれば、Samsung独自のアプリ、コンテンツ、およびサービスのエコシステムを強化するしかない」とGartnerの調査責任者、Roberta Cozzaは書いている。

もちろん、これはもう聞き飽きた話だ。何年も前からSamsungやHTC等のOEMは、Androidの “mee-too” 製品ではなく差別化した体験を提供する必要があると言われてきた。しかし、Tizenや企業向けセキュリティーシステムのKnoxなどを開発したものの、Samsungがまだこの種の戦略に本気で取り組んでいないと思われることは、Galaxyラインが未だにスマートフォン戦略の中心にあることからもわかる。

これは市場にけるAndroidの牽引力が非常に強いことも理由だ。2014年、AndroidのOS別端末台数のシェアは80%を越え、10億台以上に達した(他のアナリストのデータとも一致している)。

これは、消費者の間でAndroid OSの定着率や親密度を高めるだけでなく、Androidアプリのエコシステム全体が、Google PlayストアやGoogle自身が開発するネイティブサービスに依存していることを意味している。GoogleのAndroid実装から離れれば、それらのサービスからも離れることになる ― 克服不可能ではなくても多大な努力と時間を必要とする挑戦だ。

他のオペレーティングシステムをAndroidと比較すると、成長しながらもシェアは縮小している。AppleとWindowsは、台数ではそれぞれ1.91億台と3500万台へと増えているもののシェアは落ちている。BlackBerryは減少を続け、ついにスマートフォン全体のわずか0.6%、800万台となった ― 前年は1000万台だった。

2014年世界スマートフォン販売台数/OS別(×1000台)

OS 2014年台数 シェア (%) 2013年台数 シェア (%)
Android 1,004,675 80.7 761,288 78.5
iOS 191,426 15.4 150,786 15.5
Windows 35,133 2.8 30,714 3.2
BlackBerry 7,911 0.6 18,606 1.9
その他 OS 5,745 0.5 8,327 0.9
合計 1,244,890 100.0 969,721 100.0

Source: Gartner (March 2015)

Appleの実績を地域別に見ると、中国の売上は56%増、ようやく大画面ファンを取り込んだ米国では88%増だった。

「Appleの強力なエコシステムと新しいiPhone 6/6 Plusは、iOS内での買い換えを強く促進した。加えて、大画面を望む新規ユーザーに対してはAndroidの強力な代替を提供した」とGartnerは書いている。

携帯電話市場全体を見ると、別の興味深いトレンドが見られる。現在スマートフォンが年間12億台販売されている一方で、多機能電話(フィーチャーフォン)市場も依然として大きく、2014年には7億台が販売された。そして、Samsung、Apple、およびMicrosoft(Nokiaの多機能電話を含む)を別にすると、他の端末メーカーはほほ横一線に並んでいる。

そして「その他」が全販売台数の33.5%を占め、最大のカテゴリーとなっている ― この業界のロングテールぶりを明確に示している。「2014年に伸びていない地域は、日本とヨーロッパ西部だけで、それぞれ2.8%および9.1%減少した」とGartnerは指摘している。

2014年世界携帯電話販売台数/メーカー別(×1000台)

会社名 2014年台数 シェア (%) 2013年台数 シェア (%)
Samsung 392,546 20.9 444,472 24.6
Apple 191,426 10.2 150,786 8.3
Microsoft 185,660 9.9 250,835 13.9
Lenovo* 84,029 4.5 66,463 3.7
LG Electronics 76,096 4.0 69,094 3.8
Huawei 70,499 3.8 53,296 2.9
TCL Communication 64,026 3.4 49,538 2.7
Xiaomi 56,529 3.0 13,423 0.7
ZTE 53,910 2.9 59,903 3.3
Sony 37,791 2.0 37,596 2.1
Micromax 37,094 2.0 25,431 1.4
その他 629,360 33.5 587,764 32.5
合計 1,878,968 100.0 1,808,600 100.0

Source: Gartner (March 2015) *Results for Lenovo include sales of mobile phones by Lenovo and Motorola.

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。