空振りに終わった前四半期の後でAppleは良いニュースを必要としていた。今期はAppleにとって好ましい決算となった。
Appleの発表によれば、第3四半期の売上は424億ドル、1株あたり利益は1.42ドルだった。アナリストの予想は420.9億ドル、1株あたり利益は1.38ドルだった。この決算を受けて株価は上昇し、Appleは時価総額を100億ドル単位で取り戻した。時間外取引での5%のアップはさほどの急騰に思えないかもしれないが、時価総額が5000億ドルを超える企業にとっては莫大な金額となる。
それでも対前年比では依然としてマイナスの四半期だった。昨年同期のAppleの売上は496億ドル、1株あたり利益は1.85ドルだった。しかし中核事業であるiPhoneの市場が飽和に近づいていることからAppleの減速は予測されていた。発表によれば4040万台のiPhoneが売れた。前年四同期は5120万台だった。
前年同期は新製品の影響がない期間だったが今期もその点ではほぼ同様だ。売上はもはや急成長モードではない。iPhoneの販売台数も減少傾向だ。アナリストもAppleは成長中の企業ではないと考え始めていた。しかしAppleに新しい成長の可能性を見出したいと考える投資家が多い中、今回の決算は投資家にとっても朗報となった。
今回の決算では近年初めてAppleの手持ちキャッシュが減少したことが注目される。Appleは最近、大胆な投資を実行しており、中国におけるUberのライバル、滴滴出行に10億ドルを出資している。これはAppleが事業を多角化するために巨額のキャッシュを利用し始めたことを意味するのだろうか? 予測は時期尚早だろう。
前四半期はAppleにとって大きな分岐点だった。13年ぶりにAppleは売上の減少を記録し、アナリストの予測を大きく下回った。成長の原動力であるiPhoneの販売台数は昨年の第2四半期を大きく下回った。
その結果、Appleの株価は急落し、1日の午後の取引だけで400億ドルが時価総額から蒸発した。 すぐ背後に迫っていたGoogleは一瞬だが時価総額でAppleを抜いた。Appleの株価はまだ前四半期の急落から完全に回復していないが、それでも今期は復活に大きく踏み出した。
今期は安価な4インチiPhone、SEが売りだされた後、最初の四半期となった。消費者は初めてAppleから手頃な価格のiPhoneを買うチャンスを与えられた。またコンパクトなサイズの新型iPhoneを待っていたiPhone 5、5Sのユーザーにも歓迎された。しかしこうした安価な製品はより高価iPhoneの販売を妨げ、Appleの利益率に食い込む可能性がある。
Appleの業績のカギとしてアナリストが注目する粗利益率は39.7%から今期38%にダウンした。Appleの販売するデバイスは全体としてプレミアム・デバイスと考えられている。当然ながらそういう製品として粗利率は高く、これがAppleの独走の大きな原因となってきた。Appleのガイダンスでは、粗利率は今後さらに減少すると予測されている。新しいiPhoneが発売される直前の今年の第4四半期の粗利率のターゲットは37.5%から38%だ。
そこで明るい方面に目を向けると、iPadの販売台数だ。前四半期、AppleのCEO、ティム・クックはiPadの将来は明るいことを示唆した。1-3月期の決算でAppleは1090万台のiPadを売った。【略】
アナリストは今四半期の iPadセールスは9100万台と予測した。しかし予測を上まわって1000万台が売れたことが報告された。これは前四半期からは多少減少しているとはいえ、ほぼ同数を維持できたことになる。興味深いのはiPandの売上が44億ドルから49億ドルへとむしろ増加したことだ。原因はともかくとしてこれは投資家にとってポジティブなニュースといえる。
注目はiPhone 7の発表と次の四半期決算に集まっている。 Appleの他の部門がおしなべて頭打ち傾向であるときに、iPhone 6で見せたような中核事業の再活性化をiPhone 7で繰り返せるかどうかがAppleの今後を占う上で重要なポイントと考えられている。
今回の決算のポイントは次のとおり。
- Q4ガイダンスの売上予測は455億ドルから475億ドル(昨年同期は515億ドル)
- Q3売上は424億ドル(アナリスト予測は420.9億ドル、昨年同期は496億ドル)
- Q3 1株あたり利益は1.42ドル(アナリスト予測は1.38ドル、昨年同期は1.85億ドル)
- Q3粗利益率は38%(昨年同期39.7%からダウン)。
- Q4ガイダンスの粗利率のは37.5%から38%
画像:Stephen Lam/Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)