Appleが簡単動画作成アプリClips 3.0発表、縦位置ビデオサポートでTikTok世代を狙う

Apple(アップル)は米国時間10月28日にビデオ製作アプリClipsの新バージョンを公開した。Clips 3.0では縦型ビデオがサポートされ、TikTokやストーリーなどのサードパーティのSNSアプリへの投稿が容易になった。また横型ビデオやiPhone 12のHDR動画対応など多数の機能が追加された。これ以外にも新しいスタンプやサウンド、ポスターなどが提供されている。

アップルが最初にClipsを発表したのは2017年で、Instagramにビデオを投稿するためのツールを狙ったものだった。そのためアプリは正方形のフォーマットのみサポートしたが、これはその後、時代遅れになっていた。ユーザーは現状、カジュアルなビデオはTikTokをはじめTriller、Dubsmash、Instagram Reelsといった短いビデオ専門のソーシャルネットワークに投稿している。

一方、Instagram、Facebook(フェイスブック)、Snapchat、Pinterest、そして近くTwitterにも登場するはずのストーリーズはもっと長いビデオを中心とし、ユーザーのSNSへの投稿で中心的な位置を占めるようになっている。

アップル自身も縦型ビデオのサポートがClipsに対する要望で最も多かったと認めている

Clips 3.0は正方形フォーマットに加え、16:9と4:3のアスペクト比をサポートする。アプリがiPadで開かれた場合は、デフォルトで横位置が選択される。これは教師が子どもたちを教える際に利用する教育目的の場合、特に便利なはずだ。

iPadのClipsはiPadがMagic Keyboard for iPadのようなケースに入っていても作動し、Bluetoothマウス、トラックパッドもサポートされる。テキスト欄にはApple Pencilで入力できる。

画像クレジット:Apple

新アプリはiPhone 12、iPhone 12 ProのリアカメラのHDRビデオをサポートする。

ClipsのUIもリニューアルされた。横位置、縦位置で録画する場合、新しい録画表示窓は画面の上でフロートする。これは「アプリの反応が遅い」と感じる一部ユーザーの不満に対処したものだろう。

またユーザーは、Clips Projectsなどで各種効果にアクセスするなどが以前より容易になっている。

新しいインターフェースにはTikTokの影響が感じられる。例えば効果を下から上にスワイプすると、カードが全面表示されビデオに追加できるスタンプや見出しテキストを選ぶことができる。この利用できる効果をすべて表示するポップアップ式カードのフォーマットはTikTokとよく似ている。ただしこちらはボタンをタップする方式でジェスチャーではない。

画像クレジット:Apple

今回のアップデートではコンテンツ系のオプションが増えた。例えばSNS向け系スタンプは8種類が追加された(Instagram Stories向けの「音声オン」など)、矢印や図形は6種類、著作権フリーのサントラも24種類追加され利用できるBGMは100種類になった。Clips内に新しいメディアブラウザが設けられ、自分の作った写真やビデオが選択できる。トーグルルでポスターが表示され、カスタマイズ可能なフルスクリーンのタイトルカードが70種類から選べる。

フィルターやセルフィーもアップデートされ、ユーザーが簡単に音声でキャプションをつけられるLive Titles機能も追加された。

プロジェクトの作成が完了した後、ビデオをソーシャルネットワークに投稿するのも簡単になった。共有画面にはiMessageや「デバイスに保存」に加えてInstagram、YouTube、TikTok、Twitter、Snapchatなどの投稿先が並ぶ。

Clipsは着実にユーザーを増やしてきたが、最後のアップデートは半年前で、他のアプリに比べてアップルの注目度が低い印象だった。同社によれば、ユーザーは毎日数百万の単位でClipsのプロジェクトを作っているという。利用が目立つのは米国、英国、中国だ。

またアップルによれば、2020年に入ってClipsの利用は30%も増えたという。これは学校教育がリモート化し、教師がデジタル教材を作成しなければならなくなったことと関係があるだろう。

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今回、縦位置ビデオをサポートしたことも一例だが、Clipsは非常に大きな潜在的市場を持っていた。

現在、多くのユーザーがストーリーズやTikTokを利用するサードパーティのアプリ(InShot、Prequel、Splice、PicCollage、Canva、VSCO、Funimate、KineMaster、Magisto、CapCutなど)に短いビデオクリップを投稿している。これまでClipsがこの市場利用できなかったのは縦位置ビデオをサポートしていなかったためだ。

新しいClips 3.0は、世界で本日から順次公開される。

カテゴリー:ハードウェア
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(翻訳:滑川海彦@Facebook