拡張現実と仮想現実の技術をめぐるAppleの今後の動きに関して、噂の火に油を注ぐかのように、同社は指標追跡(eye-tracking)技術のSensoMotoric Instruments(SMI)を買収した、とMacRumorsが報じている。
1991年ドイツ生まれの同社はこれまで、視標追跡の研究で重要な業績を上げ、特殊な単眼鏡ハードウェアを開発したり、仮想現実のための視標追跡など消費者アプリケーションの研究もしている。昨年同社は、VRヘッドセットHTC Viveのための視標追跡開発キットを発表している。
問い合わせに対してAppleは、昔から変わらぬワンパターンで答えてきた: “Appleは小規模な技術企業をときどき買収し、一般的にそのとき、弊社の目的や計画を明らかにすることはない”。
買収の条件は現時点で不明だが、今後分かり次第お伝えしよう。
VRやARの重要なユースケースのひとつが、ユーザーが今見つめている場所の位置を調べてその領域を最高の解像度で描画し、周辺はやや手抜きをして処理負荷を軽減する、中心窩レンダリング(foveated rendering, 視線追跡型レンダリング)と呼ばれる技術だ。VRやARのヘッドセットで超高解像度な視界を実現するためには、欠かせない技術と言われている。
ヘッドセットを用いるARやVRでは、視標追跡技術のユースケースがほかにもある。たとえば昨年10月にGoogleが買収したEyefluenceは、ユーザーインタフェイスのマウスクリック等に代わるセレクション(ユーザーの指定)の判定に、視標追跡を用いる。
先月Appleは、拡張現実を利用するアプリケーションを作るデベロッパーのために、APIセットARKitを発表した。また同社のデスクトップ機の最高級機iMac Pro向けには、VR開発のサポートを提供している。