Appleはついにアプリの売上でAndroidに抜かれたようだが(というかアナリストたちがそう言っているが)、今日(米国時間6/1)はそれ自身の道標をまた一つ越えた。すなわち同社によると、アプリのデベロッパーへの支払いが700億ドルを突破したのだ。1年前は500億ドルだった。なお、‘売上’は、これらにAppleの取り分を加えた額である。
スマートフォンの売上は多くの大市場の飽和とともに、昨年の年成長率わずか3%へと落ち込んでいるが、アプリのエコシステムは依然として強力なモーターが動かしているようだ。
Appleによると、アプリのダウンロード数は前年比で70%増加した。Pokémon GOやSuper Mario Runなどのゲームに依るところが大きいが、CancerAid, SPACE by THIX, Zones for Training with Exercise Intensity, Vanido, Ace Tennis, Havenlyなどの一般アプリも市場の成長に貢献している。
ここ数年の同じ傾向として、上位ではゲームとエンターテインメントが依然として強いものの、LifestyleとHealth and Fitnessのカテゴリーは前年比70%を超える成長を示している。また、写真とビデオは昨年来、90%という最高率の成長を見せた。
これらの発表はAppleの年次デベロッパーカンファレンスWWDCの先駆けとして、絶好のタイミングだった。
スマートフォンの売上台数では数年前からAndroidがiPhoneを抜いているが、アプリとなると、その売上も使われ方も、Appleが伝統的に強い。
しかし一部の推計では、Google Play Storeとそのほかのストアを合わせたAndroidアプリの売上がAppleを抜き始めたらしい。App Annieが3月に挙げた数字では、2021年のAppleの売上が600億ドルに対して、Google Play Storeが420億ドル、そのほかのAndroidストアが360億ドルという推計だ。でも今日発表された数字でAppleは、アプリの作者と販売者が得る利益が継続的に大きいことを示したいようだ。
“人びとはどこでもアプリが大好きであり、われわれの顧客は記録的な数のダウンロードを行っている”、と、Appleのグローバルマーケティング担当SVPが声明している。“デベロッパーが稼いだ700億ドルは、ひたすら驚異的である。デベロッパーたちが作る新しいアプリのすばらしさには、いつも感嘆しており、来週のWorldwide Developers Conferenceでお会いできることが楽しみである”。
Appleは新しい決済方式を導入して、さまざまな経済圏の人たちがアプリ内購入をできるようにした。アプリの料金をキャリアの請求書に含めるキャリア決済(carrier billing)という方式もある。プリペイ(事前支払い)のクレジットでもよい…とくにこれは、通常のクレジットカードがあまり普及していない市場で便利だ。
そしてさらに、有料会員制(サブスクリプション)がある。Appleは通常のアプリ内購入では30%を取るが、1年を超えるサブスクリプションに対してはその率が15%に下がる。
Appleによると、今では25のカテゴリーのすべてにわたってサブスクリプションが認められるので、有料会員制は前年比58%増加した。この分野のリーダー格は、NetflixとHuluだ。料理アプリのTastemadeや写真アプリのOverとEnlightがそれに次ぐ。