AppleのFace IDは、1台の端末につきひとつの顔情報しか登録できないようになっているようだ。少なくとも、当初はそのようになっている様子。先日の発表イベントにて、多くの人が問い合わせを行ったようだ。TechCrunchもこの情報を確認している。読者の方もすでにご存知のことではあるのかもしれないが、重要なポイントであると思われるので、記事でもご報告しておく次第だ。
Face IDが、ひとつの顔情報の登録にしか対応しないというのは、ごくあたりまえのことのようにも聞こえる。指紋情報を確認するための指は何本もあるが、顔はひとつしかないものだからだ。指は複数あるものだし、また端末の向きや、しまっておくポケットによっても認証に利用する指が異なることはあり得る。そうしたケースに応じて、Touch IDでは複数の指を登録することができるようになっているわけだ。
ただ、自分の指紋情報を複数登録するだけでなく、たとえば恋人や子供の指紋情報を登録して利用している人も多い。指紋認証情報は5つまで登録できるようになっているわけで、自分の分を2、3登録して、あとは別の人ように利用するということも可能なわけだ。
「顔はひとつしかないのだから」というFace IDの運用ポリシーのもとでは、これまでのように複数人で使いまわすという行為が面倒なものとなる。たとえば恋人に使わせたい場合には、まず自分でカメラの前でにっこり笑ってから恋人に手渡すといった手間が必要になる。それがいやだという場合、パスコードを共有する必要が出てくる。パスコードの共有は、指紋認証に比べてちょっとめんどうくさいといったレベルのものではあるかもしれない。しかし多少ではあっても手間がかかることに間違いはない。しかも、頻繁にアクセスするのでなければ、パスコードを忘れてしまうというのもありそうな話だ。
Face IDを、iPadなど他デバイスに拡張していく場合にはさらに問題になるだろう。iPadはiPhone以上に、複数人で共有して使うことが多いデバイスだからだ。使い方にもよる話ではあるが、iPhone 8を選ぶのか、それともiPhone Xを選ぶのか、あるいはiPhoneではないデバイスが欲しくなるのかにも影響し得る話だと思うが、いかがだろうか。
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(翻訳:Maeda, H)