小型衛星用のスラスターや軌道離脱モジュールを開発しているフィンランドの企業Aurora Propulsion Technologies(オーロラ・プロパルション・テクノロジーズ)が、自社の技術を初めて宇宙に送り出す。同社はRocket Lab(ロケット・ラボ)と契約し、2021年第4四半期に、初の「AuroraSat-1(オーロラサット1)」と呼ばれるキューブサットを、Electron(エレクトロン)ロケットのライドシェアミッションに載せて、地球低軌道に送り出す予定だ。
Auroraは2018年に創設されたスタートアップ企業で、その他にあまり類を見ない技術は、私たちの多くにとって「見えないところにある、気に留めないもの」である宇宙ごみという厄介な問題の解決に役立つと考えられている。
宇宙ごみ(軌道上デブリ)とは、宇宙空間に存在する不要になった人工物のことだ。米国防総省は、Space Surveillance Network(宇宙監視ネットワーク)を通じて、約2万7000個の宇宙ごみを追跡し続けているが、地球低軌道上には数百万個のごみが漂っていると推定されている。
打ち上げやその他の技術コストが低下し続けているため、地球低軌道上は今後ますます混雑する傾向にあり、長期的には私たちの周囲に浮遊する不要なごみが増える可能性があるということだ。
2021年末に予定されているRocket Labによる打ち上げは、Auroraが宇宙でその技術を実証する好機である。AuroraSat-1は2つのモジュールを備える予定で、1つ目のモジュールには、6基の「レジストジェット」スラスタが搭載されており、キューブサットの迅速な離脱と姿勢制御(衛星の向き)の調整を行う。また、同社は電荷を帯びたマイクロテザーを用いて衛星の離脱時に抵抗力を発生させる「Plasma Brakes(プラズマ・ブレーキ)」のテストも予定している。
AuroraSat-1は当初、宇宙輸送事業者であるMomentus(モメンタス)によって、2021年初めにSpace X (スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)ロケットを使ったライドシェア・ミッションで飛ぶ予定だった。しかし、Momentusが米連邦航空局の承認を得られなかったため、その飛行は中止された。
今回の変更について、AuroraのRoope Takala(ルーペ・タカラ)CEOは「Momentusが難しい状況になったことを踏まえて、私たちは今回発表したRocket Labのフライトに衛星を載せ替えなければなりませんでした」と、TechCrunchに語った。Auroraは2021年3月、2022年6月にMomentusと衛星を打ち上げる契約を結んだと発表していた。
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カテゴリー:宇宙
タグ:Aurora Propulsion Technologies、Rocket Lab、宇宙ごみ、人工衛星
画像クレジット:Aurora Propulsion Technologies
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)