AuroraTekはCESで物理の法則に反する技術を売ろうとしていた

 

CESの取材のためにラスベガスのThe Sandsホテルの、スタートアップだらけのEureka Parkを歩きまわっていると、ひとつのブースがぼくと、同僚のDarrell Etheringtonの前に立ちふさがった。テーブルの上に数台の電動スクーターがあり、その背後のパネルには“惑星地球上のもっとも進歩したテクノロジ!”(The MOST Advanced Technology on Planet Earth!)と書かれている。

ぼくたち二人は、その(たぶん)素敵な電動スクーターに関心を向けるためのギャグだと思ったから、そのブースの主(あるじ)、AuroraTekの社長でCEOのWilliam Alekに話を聞いた。上のビデオにはぼく自身も写っているから、そのときの会話の全貌が分かる。

AuroraTekは実際に電動スクーターを作っているのだが、Alekの話では、そのブースの本当のスターは、ものすごく特別な変圧器(トランス)で、入力よりも大きい電力を出力するのだ。

“カン、カン、カン、カン、カン、…”、ぼくの頭の中の、いかさま検出器が鐘を連打した。それは、熱力学の第一法則に反している。小学校の初等物理で教わると思うが、エネルギーは作ることも破壊することもできない。

ライブでビデオを撮っているのだから、Alekの話はAlekに有利に解釈してやるべきだ。そこで、彼に説明を求めた。彼は、量子トンネル効果がなんたらかんたらという、ニセ科学のような大風呂敷を広げ始めたが、その効果をふつうの分かりやすい英語で説明できなかった。AuroraTekのホームページの方が、まだましだ: “私たちはこれを、負から正へのエネルギー変換(NEGATIVE-to-POSITIVE Energy transformation)によるフリーエネルギー、または過統一(overunity)技術と呼んでいる。なぜならばそれは、“無から有を生む”を実現しているように見えるからだ”。

AuroraTekのブースのパネル

ぼくの場合、スタートアップのアイデアがだめだと思ったら、黙って立ち去ることにしている。それについて、いろいろ否定的な記事を書くのは簡単だけど、世界にはぼくとは違う頭や心やニーズを抱えた人がたくさんいる。一部の人たちにとっては、それは、価値あるアイデアかもしれない。でもガマの油(いんちき薬)のようなテクノロジを売ることは? それは、我慢できないけどね。

ぼくの中の別のぼくは、Alekがプロ級のトロルだったらおもしろいな、と思っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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