B2B決済企業であるBill.comは米国時間12月12日、IPOの公募価格を1株あたり22ドル(約2400円)強に設定した。同社はIPOで982万株を売却し、約16億ドル(約1754億円)の評価額のもとに、約2億1600万ドル(約237億円)を調達する予定だ。
同社のIPOにおける公募価格は、上場を目指す赤字経営の企業にとっては、やや不確実な時期に設定された。WeWorkによるIPOの混乱によって、成長志向の企業が株式公開時に投資家の関心を高めることに苦労するかもしれないという懸念が生じていたからだ。
しかし、Bill.com のIPOは、すべての赤字会社が同様ではないことを明らかにしている。同社の公募価格設定は、投資家たちの損失に対する懸念よりも、その成長ストーリーにより強く共感したことを示している。同社はこれまで1株当たり16ドルから18ドル(約1800円から2000円)のIPO価格帯を目標としていた。しかし、その価格帯は本日の価格設定の前に、昨日1株あたり19ドルから21ドル(約2100円から2300円)に引き上げられていた。
財務履歴
Bill.comのIPOが、スタートアップにとって何を意味するのかを理解するために、同社が未公開の間にどれくらいの資金を調達したか、そしてその財務状況がどうであったかを思い出してみよう。
同社は未公開時期に行ったシリーズとベンチャーラウンドを通して、3億4710万ドル(約381億円)を調達してきた。その中には2017年の1億ドル(約110億円)や、2018年の8800万ドル(約96億円)が含まれている。米国カリフォルニア州パロアルトに本拠を置く同社は、未公開時期の後期には、Franklin Templeton、JP Morgan、そしてTemasekからも調達している。それ以前には、Emergence、DCM、Icon Ventures、Financial Partners Fund、そしてScale Venture PartnersなどからBill.comは資金を調達していた。
Crunchbaseのデータによれば、同社は2018年の調達後における評価額は、きっちり10億ドル(約1100億円)だった。これによりIPOが行いやすくなり、最近増加したBill.comの個人投資家たちにも価値が増したこととなった。
IPOに向けて、Bill.comはともに増加した売上と損失の両方を公表した。
- 第3四半期売上:3520万ドル(約39億円)、前年比56.9%増
- 第3四半期純損失:570万ドル(約6億円)、前年比544.3%増
1年前の第3四半期の100万ドル(約1億円)以下の損失と見比べると、同社の純損失の伸びは実際よりも悪いものに見える。しかし、利益への道を探している投資家たちには、計算ベースの大きさに関係なく、その方向性やペースは気にしていないのかもしれない。
1年前よりも多くの損失を出しながら公募価格帯を引き上げてきた企業に、さらに上回る公募価格がついたという事実は、IPOウインドウが閉じられてしまったのではと考える企業たちの懸念を和らげるはずだ。もし損失が収益に対して割合として少なく成長が堅調であれば、決して可能性は閉じられていない。
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(翻訳:sako)