ネットショップ開設サービス「BASE」を提供するBASE。同社は今年の2月、オンライン決済サービス「Pureca」を開発するピュレカを買収し、自社で決済事業を行う発表していた。当初今春にもリリース予定としていたそのサービスがいよいよスタートした。同社は9月7日、決済サービス「PAY.JP」を公開した。
PAY.JPは、ウェブサイトやネットショップがクレジットカード決済機能を無料で簡単に導入できる開発者向けのサービス。審査の後、サイト上にコードを加えることで導入が可能。
世界でサービスを展開する米PayPalや今秋にも日本で正式にサービスを開始する予定のStripeのほかGMOペイメントゲートウェイをはじめとする国内の大手事業者、さらにはメタップスのSpikeなどがいる領域だが、PAY.JPのウリはサービスの使いやすさ、審査の速さ、導入の手軽さなどだという。初期費用および月額手数料は無料。決済手数料はVISAおよびMasterCardが3.0%、AMEX、JCB、Diners Club、Discover Cardは3.6%。2016年5月末までにサービスを導入した個人および法人を対象にした決済手数料無料キャンペーンも実施する。2月の発表以降、ウェブサービスを中心にしてすでに2000店舗の申し込みがあった。
BASE代表取締役の鶴岡裕太氏は、立ち上げたときから一貫してBASEについて「(ITリテラシーが低いという意味で)お母さんでも使えるサービス」をコンセプトにしていると語っていた。BASEのショップ開設数は2年半で17万店舗。現在も毎月1万件ペースで店舗が増えているという。この成長はそれはそれですごいと思うが、決済は「BASEというプラットフォームの規模に適さない(より大きな)ウェブサービスをやっていく人に向けて提供するサービス」なのだそう。「BASEはネットもままならない人に『商売』のサービスを提供するというものだが、PAYではよりモノを簡単に買えるようにする。ずっとやりたかったサービス」(鶴岡氏)
鶴岡氏いわく、Stripeは自らもプログラムに参加していたY Combinator発のスタートアップが手がけるサービスをはじめとして、ウェブサービスでの決済で成長してきた。しかし日本ではスタートアップが手がけるウェブサービスの課金というのは米国ほど大きいとも言えない。さらには既存の決済事業者も居る状況。そういう状況もあって、PAY.JPでは当面はウェブサービスよりはECの事業者をターゲットにするという。「大手事業者のクライアントを(PAY.JPに)ひっくり返していくのでなく、例えば5年後に『ZOZOTOWN』のように成長しているような新興ECサイトへの導入をいかにできるか。料率だけでもPAY.JPはいいと思うが、料率だけならば(競合と)たたき合おうと思えばたたき合える。どうユーザーをサポートしていくかが重要」(鶴岡氏)
PAY.JPの事業は2〜3年後の黒字化を目指す。同社はBASE事業の売上について詳細を公開していないが、「BASEも売上を意識するフェーズになってきた。PAY.JPは当面コストがかかるので、それを支えるサービスにしたい」(鶴岡氏)としている。