Microsoftはプラットホームの作り方を知っているから、同社が新しいのを発表したときには、見てみる価値がある。先週までMicrosoftは、BingはGoogleと競合する検索エンジンだ、と人びとに思わせてきたが、しかし今年のデベロッパカンファレンスBuildでは、Bingは今やデベロッパプラットホームでもある、という驚きの発表を行った。そしてMicrosoftは今、BingのEntity API、音声認識、OCR、翻訳、などなどの機能やツールをサードパーティアプリケーションのデベロッパに公開している。既存のMaps APIも、それらの一環として含まれるようになる。
Microsoftはこれらのサービスを説明するとき、“インテリジェントなファブリック(fabric, 構造物)”である、という言い方をする。それを使って構築したプロダクトは、“人びとが世界の知識や彼らを取り巻く環境と、より人間的なやり方で対話することを助ける”、のだそうだ。これらの能力の一部はすでにMicrosoftが内部で利用してきたものだが、これからは外部にも公開されるのだ。
Entity APIが、Bingのサービスのハイライトだ。Microsoftがうまくやれば、このAPIの存在によってBingは、自分のアプリケーションが現実世界に関する情報に容易にアクセスできるようにしたい、と考えているデベロッパが、必ず利用するプラットホームになる。Bingの先進的なSatori Entityエンジン…GoogleのKnowledge Graph(知識グラフ)に相当…のすべてがEntity APIから利用できるわけではないが(Entity APIのローンチの日程も未発表)、同社によればこのAPIによってデベロッパは(自分のアプリケーションを通じ)、“世界の発見や世界との対話をこれまでよりも高速かつ容易にできるようにユーザの能力を高める”、というのだ。
Microsoftの検索担当部長Stefan Weitzによると、これらのデベロッパツールの一般公開については内部で議論があった。でも一般公開派がその議論に勝ったことは、たいへん良い兆候である、と。
ただし、今のところの制約は、Bingの各サービスが特定のクライアント環境に依存していることだ…それは、Windows 8,と8.1とXbox Oneである。短期的にはこれは、Windows 8向けの良いアプリケーション(Metroなアプリケーション)を増やす、という効果があるかもしれない。でも本格的に広くデベロッパコミュニティに使ってもらいたいのなら、なるべく早く特定クライアント環境依存から卒業すべきだ。
Microsoft自身も、デベロッパプラットホームではGoogleなどとの競争が厳しいことを、よく知っている。Googleはなにしろ、デベロッパ向けのサービスがすごく豊富だ。MicrosoftにはAzure、Visual Studio、Team Foundationなどとそれらのまわりのエコシステムがあるが、でも地図や音声認識や検索ツールなどのAPIサービスを求めるデベロッパのほとんどが、今のところMicrosoftへは歩を向けない。
でも、Bingのプラットホームとしての育成にMicrosoftが今後ますます本気を見せてきたら、それがデベロッパの心の中で他と互角な選択肢の一つとして位置付く機会が、そのうち訪れるかもしれない。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))