サンフランシスコのコーヒー戦争が再燃している!
情報筋によれば、昨年の7500万ドルにおよぶ大型資金調達から、1年わずかしか経っていないにも関わらず、Blue Bottleが新たな大型ラウンドを計画しているようだ。調達額については分かっていないが、コーヒーに対するシリコンバレーの投資家の大きな(そしてときに不思議な)興味を考慮すると、前回に近いか、同等レベルの金額に達しても驚きではない。シリコンバレー、そしてサンフランシスコのコーヒー愛には際限がなく、その熱は投資家にも飛び火しているようで、何千万ドルという資金がBlue Bottle CoffeeやPhilzといった会社に流れ込んでいる。
ということで、ここは何よりもコーヒーを優先させよう!コーヒー!コーヒー!コーヒー!
シリコンバレーは、数々の一風変わった投資で知られている。投資先のビジネスは、オルタナティブフードの生産から宇宙探査までさまざまで、コーヒーも決してその例外ではない。しかし、そこにはちゃんとした裏付けがある。コーヒー市場の規模は巨大かつ、800億ドルのバリュエーションを誇るスターバックスという、ほぼ完璧な比較対象が存在するのだ。どんなコーヒー関連企業も、市場のほんの一部を獲得できれば、ユニコーン企業の仲間入りを果たすことができる。そしてもちろん、そのような企業を買収しようと考える企業も同時に存在する。
それでは、ここでコーヒービジネス関連の最近行われた大型ラウンドを見てみよう。
- 2570万ドル: Blue Bottle(2014年1月)
- 7500万ドル: Blue Bottle(2015年6月)
- 2000万ドル: Blue Bottle(2012年10月)
- 1500万ドル: Philz(2015年2月)
- 1500万ドル: Philz(2013年5月)
- 4500万ドル: Philz(数週間前)
私たちの理解では、上記にSightglass Coffeeがこれまでに調達した資金は含まれていない。(同社には、Square CEOのJack Dorseyが投資しており、ベイエリア界隈では、このことがよく知られている)
また、Blue Bottleは、アメリカ中で精力的に店舗の数を増やしている。店舗の様子も、ブルックリンから近く(以前)流行っていたWilliamsburgのエリアにあるロースター兼コーヒー店から、サンフランシスコのダウンタウンにあるアップルストア風のもの(ここのワッフルはとても美味しい)までさまざまだ。スターバックスが営業している場所では、競合するコーヒー店がうまくやっていける余地が当然ある。特に、スターバックスよりも良いコーヒーや、少なくともより良いエクスペリエンスが提供できるならばなおさらだ。
スターバックスも一般消費者の視点から見るとユニークな立場にある。というのもスターバックスは、会社として大きく成長した結果、一般投資家からその動向をいちいちチェックされてしまうようになったのだ。そしてそんな中でも結果を残すことを求められている。そのため、もしかしたら原料となるコーヒー豆にそのしわ寄せが来ている可能性がある。一方で、Blue Bottleはその高単価を背景に、良質なコーヒー豆を使用できるほか、より良いサプライチェーンを(今無いとすれば)構築しているというイメージを与えることができる。
しかし、Blue Bottleも新たな収入源の発掘を行っており、コーヒー豆のほかにも、ニューオリンズスタイルのアイスコーヒー(小学校の頃の給食に出てきたような可愛らしい牛乳パックに入っている)やコールドブリューコーヒーを販売している。Sightglassも、Ritualのような新興コーヒー企業と同様にコーヒー豆の販売を行っている。このような動きを背景に、コーヒー市場(少なくともサンフランシスコ・ベイエリアのコーヒー市場)は驚くほど競争が激化しており、広く知られるようになるまでには、強く後押ししてくれる、流行に敏感な人が何人かいなければいけない。
(もしかしたら、読者の方には流行に敏感ではないものの、一押しのコーヒー店があるかもしれないが…)
Blue Bottleのケースで言えば、店舗の数を増やすうちに、最終的には海外市場に目を向けざるをえなくなるだろう。これまでにBlue Bottleは、コーヒー好きの間では確固たるブランドを築いてきたものの、今後はカフェイン狂の都市部の消費者以外にも、自分たちがスターバックスより優れていると説得していかなければならない。海外市場の中でも特に、コーヒーが日常的な飲み物と捉えられ、良いワインや食べ物のような職人の手によって作られたものだとは思われていないような地域では、そのプロセスはより困難を極める。
結局のところ、コーヒー市場は、企業が新たに参入するにはなかなか悪くない市場のようだ。実際、スターバックスのサイズだけを考えてみても、世界中にコーヒー豆や関連製品を販売する、こだわりのコーヒー店やロースターを複数社支えるくらいの市場規模である。課題となるのは、どのように店舗・物流網を拡大していくかということで、そのためにはもちろん多大な資本が必要となる。
最終的にコーヒー戦争は、私たち消費者にとってはもちろん良いことだ。コーヒー自体素晴らしいものだし、競争激化でより良いコーヒーを楽しめるようになる。
Blue BottleとSightglassの担当者に、本件に関してコメントを求めたが、回答は得られていない。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)