港湾ターミナルに焦点を当てる物流スタートアップ、BlueCargoを紹介しよう。同社はY Combinatorの最新卒業生であり、300万ドルの調達ラウンドを、1984 Ventures、Green Bay Ventures、Sound Ventures、Kima Venturesなどから行ったばかりだ。
港湾ターミナルを撮影してみると、積み上げられた沢山のコンテナたちが目に入ることになるだろう。しかし、現在の整理方法は効率的ではない。作業ヤードのクレーンは、そうした山の底に置かれているコンテナにアクセスするためだけに、大量のコンテナを動かす必要に迫られている。
BlueCargoはコンテナを適切な場所に保管することを支援することで、そうした動きを最適化しようとしている。ターミナルから出ていく最初のコンテナが、最上段に積まれているようになるということだ。
「ターミナルは、非生産的または望ましくない動きのために多くの時間を費やしています」と語るのは共同創業者兼CEOのAlexandra Griffonだ。「にもかかわらず、ターミナルが収益を得ることができるのは、コンテナを受け取ったり出荷したりする場合だけなのです」。
現状では、ERPのようなソリューションは、コンテナのタイムラインを考慮せず僅かなビジネスルールに従って、コンテナを管理しているだけである。例えば、空のコンテナはすべて1つのエリアに保管し、危険物を収納したコンテナは別のエリアに保管するといった具合だ。
スタートアップは、コンテナごとのデータを可能な限り活用する。それがどこからやってきたのか、コンテナのタイプは、満杯なのか空なのか、それを積み込む貨物船はどれかなどだ。
BlueCargoは新しいターミナルで作業を行うたびに、過去のデータを収集し、それを処理してモデルを作成する。こうすることで、チームはBlueCargoがターミナルを最適化する方法を予測できる。
「サン・ナゼール(フランス西岸の港町)では、コンテナの移動を22%節約できました」と、Griffonは私に語った。
同社は12月にサン・ナゼールでソリューションをテストする。既存のERPソリューションと直接統合を行うのだ。クレーンはすでにコンテナ識別番号をスキャンしている。BlueCargoは、関連情報を即座にクレーンオペレーターにプッシュして、彼らがコンテナをどこに置くべきかを知ることができるようにする。
サンナゼールはヨーロッパ最大の港に比べて比較的小さな港である。しかし同社はすでに、米国最大のコンテナ港の一つであるロングビーチのターミナルと話を始めている。
BlueCargoはまた、慎重に振る舞う必要があることも理解している。これまでにも多くの企業が魔法のようなITソリューションを約束してきたからだ。だが、それは港湾をあまり変化させることはなかった。
これがスタートアップができるだけシームレスにやりたいと考えている理由だ。それは、単に節約できた移動量に基いて請求を行う。古いモデルに従っていたら余計にかかったはずのコストの30%を請求するというものだ。そしてターミナルで作業する人びとのワークフローを変えることもしようとはしていない。単に作業を迅速化してれる目に見えないクレーンのように働くのだ。
世界には、港湾ターミナルを管理する主要なプレイヤーが6社存在している。もしBlueCargoがこれらの企業に、その作業の価値を認めさせることができるなら、良いビジネスチャンスが得られるだろう。
[原文へ]
(翻訳:sako)