BMWがドライバーが見ているモノを認識する注視検出システムを発表

BMWは米国時間1月8日、CES会場で開いた記者会見で、新しい注視検出システムを発表した。このシステムは、ドライバーがクルマの外の何を見ているかを検知して、関連する情報を提示するというものだ。

ドイツの自動車メーカーは、2019年10月に発表したコンセプトカー「i Interaction EASE」を会場に持ち込んでいた。この車両が提案している機能は、クルマのシステムへのドライバーの関わり方を簡略化するというコンセプトに基づいている。具体的にはタッチコントロール、ジェスチャー、音声認識といった内容だが、特に自動運転が実現した際の環境に焦点があてられている。

「BMW i Interaction EASEは、自動運転が当たり前になった未来のクルマでの移動がどのようなものになるかを示しています。それは贅沢で、人間的で、直感的なものです」と、BMW Group Design(BMWグループ・デザイン)の上級副社長Adrian van Hooydonk(アドリアン・フォン・ホイドンク)氏は説明する。「同乗者は、すでに到着したかのような気分で旅を始められます」

BMWは、ドライバーが見ているものを追跡するこのシステムを、EASEを初公開した際、すでにほのめかしていた。このクルマの車載システムは、独自のAIツールを利用しており、ドライバーが見ているものを観察して解釈できる。例えば、クルマで通り過ぎたレストランの詳しい情報や、映画館で何が上映されているかといった情報を知ることができる。

これらの機能はすべて、BMWの「インテリジェント・パーソナル・アシスタント」と連動する。そのため、今見ている場所に関する会話を始めることもできる。しかも、EASEにはフロントガラスの全面をカバーするヘッドアップ・ディスプレイがあるため、走る大きな拡張現実画面として使うことも可能なのだ。

ちなみにこの画面には次の3つのモードがある。探索モード(explore)は、窓の外のモノに重点が置かれる。娯楽モード(entertain)では、映画を観ることができる。安楽モード(ease)を選ぶと、車内が「落ち着いたリラックスできる場所」に変わる。

ジェスチャーと自然言語認識と注視検出を組み合わせれば、クルマの中でのあらゆる操作が、非常に自然なマンマシン・インターフェイスで可能になる。

「BMWには、車内の自然言語認識に関してすでに長い歴史があり、現在、実際に走っているクルマにおいて最上級の音声検出技術を有しています」と、BMW Group Electronics(BMWグループ・エレクトロニクス)の上級副社長Christoph Grote(クリストフ・ゴルテ)氏は、本日の発表に先立ち、記者会見で述べていた。「iNEXTとBMWによって、自然なインタラクションは新しいレベルに達します。iNextは、音声によるコマンド、ジェスチャー、さらには視線の方向を複合的に分析します。それは、人間同士がコミュニケーションをとるときと、ほとんど同じやり方です。またこれにより、特別な状況でドライバーが何を求めているかを、クルマがより正確に理解できるようになります」

EASEは、かなり先の将来を見据えたプロトタイプなので、5G接続に対応させてシステムにパワーを与えることも想定されている(しかし、この使用事例では5Gでなければならないほどの回線容量は必要なく、遅延もそれほど心配することはないと私は思う)。BMWは記者会見で、BMW iNextは2021年のどこかで発売される際には、車載システムは5G対応になっているとも話していた。

EASEから生まれた最初のアイデアのうち、そのいくつかは2020年の後半にはBMWの次世代電気自動車iNextに採用されていく。どの機能が搭載されるかはまだ不明だが、注視検出が最初ということは、まずないと思っていい。

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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