ByteDanceがTikTok売却の政府命令の無効化を米連邦控訴裁判所に要求

TikTok(ティックトック)の親会社であるByteDance(バイトダンス)は、米連邦控訴裁判所に、TikTokアプリの米国における業務売却を強制する米国政府命令を無効にするよう、新たな訴訟を起こした。

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は2020年8月、ByteDanceに対してTikTokの米国における事業を11月12日までに売却するよう求める政府命令を発行したが、それには対米外国投資委員会(CFIUS)が30日間の延長を認めない限りという条件があった。ワシントンD.C.の米連邦控訴裁判所に出された今回の訴え(文末に全文を掲載)では、ByteDanceは11月6日にCFIUSに延長の申し入れを行ったが、まだ延長の許可が下りていないと主張している。

「交渉による軽減策でCFIUSの国家安全上の不安を解消する」ための努力を行っている最中であると同社は付け加えており、「交渉が行き詰まった際」にのみ売却命令の執行を継続するよう求めるものだとしている。

TikTokを所有するのが中国企業であるという国家安全保障上の懸念は、トランプ大統領が8月に署名した、北京のByteDance本社との取引を禁じる大統領令の根拠になっている。

大統領令は、TikTokが国家安全保障上の危機をもたらしていると主張しているが、ByteDanceはそれを否定している。しかし米国内で1億人以上のユーザー数を誇るこのアプリの禁止を回避するために、ByteDanceは9月に同社が保有していたTikTok株式のうち20%をOracle(オラクル)とWalmart(ウォルマート)に売却する取引に合意している。とはいえ、バイデン政権は1月の発足に向けて動いており、ByteDanceの売却命令に対する訴訟は現在進行中ではあるため、将来の成り行きは不透明だ。

この新たな訴えは、TikTokがトランプ政権に対して9月18日に起こした訴訟の一環だ。これは、裁判所が米国政府に対して、本来その月を期限として発行されるはずだった禁止令を差し止めるよう命じたことで、早々に勝訴している。

TechCrunchが受け取った声明の電子メールで、TikTokは、国家安全保障上の問題に関して、「その評価には同意しない」もののCFISUと1年間に及び協力していると、広報担当者は話している。

「継続的に出される新たな要求に直面し、我々が提案する解決策が受け入れられるか否かが不透明であるため、私たちは8月14日に明白に許可されていた30日間の延長を求めて訴えを起こしました」と声明には書かれている。

「本日、11月12日のCFIUSの期限を目前にし、延長を掌握できずにいるため、やむにやまれず、私たちと1500人を超える米国の従業員の権利を守るために、裁判所に請願を行いました」。

TikTok asks U.S. federal ap… by TechCrunch

関連記事
米政府のTikTok、WeChatの排除命令の全文とその背景
TikTokのファクトチェック、米国でのIPO、中国の所有権、そして5000億円超の税金
トランプ政権のTikTok禁止令が予想どおり遅れる

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTokドナルド・トランプ

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

原文へ

(翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。