CarvanaがシリーズCで1億6000万ドルを調達、オンライン中古車販売と車自販機の拡大を目指す

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中古車業界はとても面白い業界だ。市場規模は大きく、アメリカの年間中古車販売台数は4500万台を記録している。しかし、同市場最大のプレイヤーであるCarMaxのマーケットシェアはたった2%しかない。にも関わらず同社の評価額は120億ドルにのぼる。

つまり、中古車ビジネスはディスラプションを必要としているだけでなく、とてつもなく儲かるのだ。

中古車ディーラーのCarvanaは、ECのアプローチを中古車業界に応用することでマーケットシェアを獲得できると考えている。そのため、先日の記事でも紹介した同社は、販売プロセス全体のオンライン化を行った。そして本日(米国時間8月10日)、Carvanaは、同社のビジネスモデルをアメリカ中でさらに展開させるため、シリーズCで1億6000万ドルを調達したと発表した。

中古車の購入を検討しているユーザーは、まずCarvanaのウェブサイトを訪れ、自分の要望にピッタリの車を選ぶことになる。Carvanaは、ほぼ全ての車種と価格帯をカバーしており、昨夜の時点で5000台程の中古車が販売されていた。価格交渉には応じていないものの、Carvanaの価格はKelly Blue Book(Kelly社の発行する中古車相場についてまとめられた本)に掲載されている販売価格から数1000ドル低く設定されており、ユーザーは実際にふたつの価格を比べることもできる。

ローンなどのファイナンス面や書類のやりとりも全てオンライン上で完結でき、さらにユーザーは、購入した車の準備が出来次第、Carvanaに納車をお願いするか、自ら「車自販機」でピックアップすることができる。

車自販機とは一体どんなものなのだろうか?車自販機とは、その名の通り、顧客がピックアップを行う数日前にCarvanaが補充した車を自動的に販売する、大きなガラス張りの建物のことを指している。昨年、Carvanaは最初の自販機をナッシュビルに設置し、今回調達した資金を利用して今後国内の自販機の数を増やしていく予定だ。

車自販機のことを、ただのマーケティング上の仕掛けであると思う人ももちろんいるだろう。しかし、Carvanaは素晴らしい広告塔としての機能以外にも、自販機には実用的な目的があると説明する。現状として、Carvanaは販売した車を購入者のもとに配送しているが、それには当然購入者が受け取りに来るよりもコストがかかる。そのため、各都市に車自販機を設置することで、従業員が車を配達するのにかかるコストを抑えることができるのだ。

今回の1億6000万ドルにのぼる資金調達以前にも、Carvanaは1億4000ドルをエクイティで、4億ドルを借入で調達していた。個別の投資家については明らかにされていないが、同社によれば今回のラウンドには、新規・既存どちらの期間投資家も参加していた。

これまでのラウンドのように、Carvanaは成長と拡大に調達資金を充てる予定だ。しかし、今回の資金は、今年中に計画されている20以上にのぼる市場への参入と在庫の確保に利用される予定で、大量の中古車のために多額の資金が投入されることになる。

さらに、同社は新たな都市で車を保管(そして願わくば販売)するための物理的な拠点を必要としている。Carvanaはもっと少ない資本でゆっくりと成長することもできたが、投資家共々、確固たるビジネスモデルを作り上げたと信じている彼らは、さらなる成長を続け、中古車業界の鉄が熱いうちに打とうとしていると設立者兼CEOのErnie Garciaは説明した。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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