ネット家電スタートアップのCerevoが、スポーツ用品分野でちょっと楽しげな新製品を発表した。
スマート・スポーツ用品のブランド「XON」(エクスオン)を立ち上げ、第1弾としてスノーボードのバインディング「SNOW-1」を発表した。左右それぞれの足元に4カ所、合計8カ所に荷重センサーを搭載していて、スノーボーダーの荷重のかけ具合や重心位置を計測して、リアルタイムでスマホで確認できる。ボードの前後2カ所にしなり検知用の曲げセンサーも搭載している。
計測データのスマホへの転送はBluetoothで行う。これまで主観的な言葉による説明や、動画撮影による姿勢の確認程度しかできなかったものが、より詳細なデータとともに滑りの分析ができるようになる。面白いのは、GPSで測位した滑走軌跡や、以下のように撮影した動画と合わせて見ることもできること。
つま先には高輝度なLEDが搭載されていて、スノーボーダーの動きに合わせてLEDが光るという。電飾に凝るクルマ・バイク野郎を想像してしまって、個人的にはイケてないなと思ってしまったけど、これは、設定値の荷重を超えた時に光らせるフィードバック用のデバイスとしても機能するんだとか。
発売は2015年内というから来シーズンには間に合いそう。海外での販売想定価格は400〜600ドルの予定というから、国内でもそのくらいの値段になりそう。一般的なスノボのバインディングより2〜3倍のお値段だけど、ガジェットとしてみれば高くはない。
リリース時のメッセージでは、Cerevoは「上達に役立つ」というところに力点をおいているようだけど、数値化してみることが楽しいという層にもアピールしそう。上達に血道を上げる人たちといえば、ゴルフやテニスも思い浮かぶけど、このぐらいメジャーなスポーツジャンルだと、すでに色々な商品が市場に出ているそう。だから、「グローバルニッチ」(ニッチ市場だけど、グローバルに見ればそこそこの規模)を標榜するCerevoとしては、スノーボードに照準を合わせたんだとか。確かにスノーボーダーなら平均年齢もスマホ世代に合いそうだし、いいかも。XONシリーズの第2弾も楽しみだね。
ちなみに、荷重を見て実際に上達に役立つのか? という疑問もありそうなので、個人的な感想を書いておこう。
ぼくはかなりヘビーなスキーヤーで、腰まで埋まるような新雪が好きだったりする。先日行った新潟では積雪が205cmと激しかったのだけど、このとき友人の1人が雪に埋もれてしまって身動きが取れなくなる事態が発生した。スキー板を外すと1メートルも動けないし、スキーをはくとあっという間にバランスを崩して雪に溺れてしまう。新雪も深すぎると沼のような感じになるのだ。特に新潟のように湿った雪だと。ということで、「雪の浮力」とか「板の上にちゃんと乗らないと板先が雪に飲まれる」ということを言葉として説明するわけだけど、これも実際のところ本人には乗れてるかどうか分からないもの。難しい条件、とくに深い新雪に出たときに初めて分かるようなところがある。ちゃんと荷重のバランスが分かっている人は深い雪でも水上スキーのように滑っていけるけど、前後の荷重バランスが崩れた人には新雪は滑れない。というように、荷重の具合というのは本人の主観だけでは分からないことがあるので、数値化して可視化できれば上達に寄与することもあるのじゃないかと思う。