正月明け早々にスノーボード用バインディングで面白いデバイスを発表したCerevoだが、今日また米国で開催中のCESにおいて、新しいデバイス「Listnr」を発表した。部屋に置いておくと「音」を認識して、クラウド経由で何らかのサービスやデバイスをコントロールできるハブのようなもののようだ。すでにKickstarterでキャンペーンを開始している。
ListnrはInterphenomとCerevoの共同開発によるもので、音声認識エンジンについてはパナソニックの研究開発部門が提供している。DMM.make AKIBAを拠点として新たに立ち上がった日本のハードウェア・スタートアップに対して大手電機メーカーが技術提供する事例としても注目だ。Cerevoは電子回路、組み込みソフトウェア、筐体設計を担当したそうだ。
Listnrは、ネット接続とマイクを搭載したデバイス。リビングやオフィスに設置することを想定している。設置場所付近で鳴った音を解析して、音に応じた指示をサーバーを介して遠隔地のスマートフォンやネットに接続した機器へ指示を送ることができるという。本体サイズは高さ68mm、幅112mm、奥行き68mm、重量は100g前後となる予定というから、小型のWiFiルーターぐらいだろうか。結構小さい。
音声認識エンジンは、当初は乳児の泣き声から「泣く」「笑う」「叫ぶ」、あるいは喃語(乳児が発する意味のない声)といった4パターンの感情を認識してスマートフォンへ通知する機能、スマートフォンからコントロールできる照明システム「Philips hue」をフィンガースナップの音で操作できる機能を提供するという(指をパチンと鳴らして電気をつけるってことだね)。APIを公開して、開発者がListnrに対応した製品やサービスを開発できる環境を整えるという。
常時音を「聞いていて」、それを何らかのコマンドとする汎用のプラットフォームということで、Amazonが2014年末に発表したAmazon Echoが似ている。EchoがSiriに似て人間が声で発する言語を認識するのに対して、Listnrは音や感情を認識するという違いがある。Echoが一般エンドユーザーをターゲットとしているために、やや唐突感があるのに対して、Listnrは当初は開発者に訴求するだろうから、そこも違いかもしれない。汎用的すぎて、まだぼくらのライフスタイルに入ってくる何かになるのかどうか分からない。そもそも赤ん坊の4つの感情が分かって、それが何っていうのもある。でも、ホームオートメーション市場が興隆してくるときに「音」がインターフェイスとして重要性を増すのなら、こうしたデバイスが活用される場面は増えていくのだろうし、開発者なら接続してみたいデバイスやサービスが思い浮かぶんじゃないかと思う。