CES 2021はベガスでのリアル開催を計画、新型コロナ感染防止対策や関連イベントのオンライン化も進める

今年1月に開催された消費者向けエレクトロニクスのトレードショーであるCESは、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックの直前という際どいタイミングだった。翌月バルセロナで開催が予定されていたMWCは一時は延期が検討されて、新型コロナウイルスの流行がヨーロッパに拡大したことで結局は開催そのものがキャンセルされた。その後は「ドミノ倒し」のように次々にカンファレンスやトレードショーの開催が中止になった。中には実際の会場ではなくオンラインに場所を移して開催されたイベントもあった。

CESは来年もリアルな会場での開催を計画していることがわかった。米国時間6月2日、CESの運営組織であるCTA(Consumer Technology Association)は「2021年のカンファレンスをラスベガスで開催することを計画している」と発表した。ベルリンで開催されるIFA(未訳記事)で入場者数の制限を計画しているが、CESでは意図的に規模を縮小するような手段を取るつもりはない。しかしCESでもイベントの関連行事の多くをオンライン化して対面開催のリスクを最小限にする努力をするという。

さらにCTAは、来場者の安全を確保するために以下のような一連の対策を採る。

  • 会場全体のスペースを頻繁に清掃・消毒し、各所に来場者向け消毒ステーションを設置
  • 展示エリアでは通路を拡張。講演会場その他参加者が密集する可能性のあるエリアでは席の間隔を広くするなど、ソーシャルディスタンスの確保に努める
  • 参加者、出展者は、マスクを着用する、握手をしないなど、感染の予防、拡大の防止に効果がある手段を採ることを勧める
  • 購入や契約にキャッシュレスシステムを導入するなど、イベント全体で対人接触が必要となる場所を制限
  • 会場の主要な入り口で非接触式サーマルスキャンによる体温測定を行うために各種システムをテスト
  • 会場における救急・医療サービスを強化

ほかの効果的方法についてもラスベガス市その他の地元コミュニティと「緊密に協力している」と主催者は述べた。ラスベガス市長のCarolyn Goodman(キャロリン・グッドマン)氏は、これまでも新型コロナウイルスによるイベントの中止に激しく反対してきたことで知られている。4月中旬にグッドマン市長は感染拡大防止のためのロックダウンを「馬鹿げている」と非難し、内外の旅行者にカジノやその他のビジネスをオープンし続けることによりラスベガスを「コントロールグループ」(比較対象を設定した対照実験の対象)とするよう提案した。困難な情勢が続くいてるが、総工費に1000億円以をかけたLVCC(ラスベガス・コンベンション・センター)のリニューアルは完成に近づいており、CESのような大型イベントを開催を確保する必要性はかつてなく高まっている。

他方、イベント主催の多くは新型コロナウイルスの第2波、第3波を世界中に拡散することになるのを恐れて、引き続き対面開催には慎重だ。パンデミックが起きる以前でも関してコンベンションが風邪やインフルエンザの拡大に大きな役割を果たしてきたことを考えれば、多くの常連企業が参加を中止することになるのは無理ない。また今回の発表でCTAが「計画」という言葉を使っていることに注意すべきだろう。世界が明日どうなるのか分からない時期だ。まして7か月後の状況となると想像することさえ難しい。

画像: ROBYN BECK/AFP/Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。