Chrome OSにPlay Storeを導入するとGoogleは本日のI/O開発者カンファレンスで発表した。AndroidアプリをChromebookやChromeboxにインストールして使用することができるようになるということだ。
Googleがこのプロジェクトに取り組んでいたのは前々から知られていた。以前からChrome OSでいくつかのAndroidアプリを使用することができた。ただ、この新プロジェクトでは全く異なるテクノロジーを使用しているという。Chrome OSのプロダクトマネージャーのディレクターを務めるKan Liu は、初期のバージョンはARC(Android Runtime for Chrome)とNative Clientを使用していたと話す。
「しかし、それはネイティブな実装ではありませんでした。アプリ開発者がアプリをChromeでも使えるようにするには別の作業が必要でした」と彼は言う。「多くの開発者にとってそれでは不十分です」。
そこで開発チームは全く異なるアプローチを取ることにした。Android on Chrome OSは現在Linuxのコンテナで駆動し、開発者がアプリに何もしなくても対応するようになった。おかげでエミュレーションも必要なくなる。また、パフォーマンスへの影響もない。Chrome OS、Androidのどちらも同じChrome OS本体のカーネルとリソースを使用する。アプリはプロテクテッド・モードで起動するが、サンドボックスから抜け出す悪質なアプリがあったとしても、Chrome OSの全てのセクリティー機能が適応しているという。
Googleは本日、Chrome OSにPlay Store対応を発表したものの、すぐにユーザーが使えるようになるということではない。まずはChrome OSの開発者チャネルに6月に登場し、このチャネルにN53も合わせてリリースする。
最初の対応端末は限られている。ほとんどがタッチ操作が可能な端末だ(GoogleのChromebook Pixel、AsusのChromebook FlipとAcerのR11だ)。タッチ操作が可能な端末に集中しているのは、広くストアを開放する前に、Android開発者にアプリのキーボード対応を改良する時間を与えるためだ(これは必須なことではないが、Chrome OSでのAndroidアプリの使い勝手がよくなるだろう)。
Play StoreアプリはChromebookでも他のAndroidフォンやタブレットと同じように使える。Chrome OSのファイルシステム、Wi-FiとBluetoothスタックへの全アクセスがある。Chrome OSは通常の通知、インライン返信、さらにはFacebook Messenger風チャット吹き出し機能にも対応する。
Liuは、これらのアプリはオフラインでも同等の機能を保持することができると話す。例えばGoogle Photosアプリで写真をオフラインで閲覧するのに保存したい場合、そのようにできる。Google Play Music、Spotify、Photoshop Express for AndroidなどのAdobeのCreative Cloudアプリ、 MicrosoftのOffice apps for Androidなども同じだ(けれど、ほとんどのChrome OS端末のローカルのストレージ容量は限定的なため、過信してSpotifyのプレイリストをダウンロードするようなことはしない方が良いかもしれない)。
ビジネスユーザーの場合、Android on Chrome OSはAndroid at Workに対応している。法人アドミンはユーザーが自分のChrome OS端末にインストールできるアプリを制限することができる(あるいはこの機能をオフにすることも可能だ)。
Android on Chrome OSはARMとx86チップのどちらにも対応している。ARMはモバイルで広く使われていて、ほとんどのAndroidアプリはこのプラットフォームに最適化しているが、いずれにしろAndroidはx86チップへの変換レイヤーも内蔵しているため、その違いはあまり問題にならない。また、ほとんどのAndroidアプリはJavaで書かれていて、これもクロスプラットフォームの互換性がある。Liuは、Android NDKを使って、C言語やC++言語で製作されたゲームや他のグラフィックが多いアプリもほとんどx86に対応しているという。
現在、Chrome OSで動くAndroidバージョンはMarshmallowだ。Android Nがまだ正式リリースしていないためだ。Androidの開発VPであるDave Burkeは、今回のAndroid Nのマルチウィンドウ対応の一部はChrome OSにも実装してあると話す。Liuは、Chrome OSのチームがAndroid Nのマルチウィンドウ対応の大部分を担っていたという。
Liuは、 Android on Chrome OSの更新頻度はホストOSの6週間周期に追随するという。Android NがA/Bアップデートシステムに切り替えたことで、それが簡単になったという(この機能もChrome OSチームからAndroidチームが引き継いだ)。Liuは、90%以上のChrome OSのアップデートは数週間内に行われるという。
Chrome OSとAndroidが同じマシーン内で共存することになり、Chrome OSの将来的な計画について前から言われていた疑問が浮かぶ。なぜGoogleは、デスクトップ用とも言えるChrome OSとAndroidの2つのOSをサポートするのだろうか?Androidはマルチ・ウィンドウモードのおかげで、リリースごとにさらにデスクトップ用として便利になっている。
LiuはChrome OSは継続するとした。「Chrome OSに賭けている」と彼はいう。「私たちはChrome OSの素晴らしい機能を残しつつ、Androidの良い部分も持ち込みたいと考えています。そうすることでユーザーはどちらの良い部分を使うことができます」。
Burkeは別のインタビューで同様の主張をしていた。Chrome OSとAndroidを合わせることは、「多くのことをシェアする実践的な方法なのです」。GoogleはChrome OSの特徴を残す考えだと彼は話し、今回の機能は「両方の世界をつなぐ強力な方法」であると捉えていると話す。
LiuもBurkeもGoogleのChromebookによる成功に触れ、Googleが良いものを損ねるようなことはしないと話した。
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