Ciscoがソフトウェアサービス部門充実のためインターネット監視ソリューションのThousandEyesを買収

Ciscoが2017年にAppDynamicsをIPOの直前に37億ドル(約3989億円)で買収したとき、同社はネットワークハードウェア専門というルーツを超えてソフトウェアのモニタリングにも進出するという明確なシグナルを出していた。米国時間5月28日の午後、同社は別の監視会社を買収する意向を発表した。今回はインターネット監視ソリューションのThousandEyesとなる。

CiscoはTechCrunchからの質問に対して買収価額を明かさなかったが、CNBCの報道などによるとほぼ約10億ドル(約1080億円)だという。それが正しければ、同社は2社のモニタリング企業に約47億ドル(約5070億円)を払ったことになる。

CiscoのTodd Nightingale(トッド・ナイチンゲール)氏は買収を発表したブログ記事で、「インターネットのユーザー体験に関してThousandEyesが提供しているデータは、大量の在宅勤務者によりインターネットの負荷が著しく増加している現在、これまで以上に重要なものだ」と語っている。

ThousandEyesはこれまでずっとインターネット接続の状況を監視しており、Ciscoのその他のモニタリング技術とうまく適合するはずだ。「ThousandEyesはその名のとおり何千ものエージェントをインターネットの全域に展開しており、他に類がないほどインターネットをよく理解しており、エージェントの増加によりますますインテリジェントになっている」とナイチンゲール氏は述べていうる。

さらにナイチンゲール氏は「ThousandEyesの能力をAppDynamicsのアプリケーションインテリジェンスのポートフォリオに組み込むことによって、エンタープライズとインターネットとクラウドのすべてにわたる可視性を強化できる」という。

ThousandEyesでは、共同創業者でCEOのMohit Lad(モヒト・ラッド)氏が典型的な買収話を語っている。自力でやるよりも大企業の一員である方が成長が速いといった話だ。「Ciscoの一部になることを決めたのは、我々に現在以上のポテンシャルがあるからだ。それをもっと速く実現し、真の意味でのThousandEyesのレガシーを生み出す可能性があるからだ」とラッド氏は書いている。

なお、今回の買収に限らず、ここ10年間におけるCiscoの大型買収戦略は、同社のコアであるネットワーキングハードウェアの事業を補完する総合的なソフトウェアとサービスへの広範な移行の動きの一環だ。

まさに同じく5月28日に、Synergy Researchがネットワークのスイッチやルーターの売上を公表したが、あまりぱっとしない。企業はパンデミックの間じっと身を潜めていたため、ネットワークのハードウェアもあまり買わない。そこでQ1の数字は7年ぶりに下がった。Synergyの場合それは、このカテゴリーの総売上の10億ドル(約1080億円)の減となる。

Ciscoは市場の大半を支配しているが、当然のようにソフトウェアサービスへの移行を続けている。それは、市場のこのような変化に対応するためのリスクヘッジだ。今回の買収もそのアプローチの上に成り立っている。

ThousandEyesは2010年に創業され、Pitchbook Dataによると2019年2月までで、6億7000万ドル(約722億円)の事前評価額で1億1000万ドル(約119億円)あまりを調達している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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