CRISPR技術による発見が流産率を下げてくれるかもしれない

遺伝子編集技術CRISPRは、ヒト胚がどのように発達し始めるかの手掛かりを明らかにした、このことで、妊娠初期の極めて重大な数週間における、流産リスクが軽減されるかもしれない。

CRISPR Cas9は、流産に寄与していると考えられる遺伝的欠陥を変更したり、取り除いたりすることができるが、これまでは、なぜ一部の胚は胎児になるのに、他のものはそうならないかという理由は明らかではなかった。しかし、水曜日にNature誌に発表された研究が、その遺伝的手掛かりを伝えている。

この研究を行っている英国の科学者たちは、OTC4と呼ばれる特定の蛋白質が、胚発生の初期段階における形成および発達に対して重要な役割を果たすことを見出した。科学者たちは、CRISPR Cas9を用いて、発生数日後の人間の胚からOTC4生産に関わる重要な遺伝子を取り除き、それによって胚の成長が損なわれることを発見した。

この調査結果は、なぜ他の女性よりも流産に苦しみやすい女性がいるのかに関する、私たちの理解を助けてくれるだけではなく、人工受精(IVF:in vitro fertilization)の成功率を大きく上げてくれる可能性がある。

IVFは、ある夫婦にとっては、自分たちの遺伝子を使って赤ちゃんを作る唯一の方法だが、何年にもわたる技術改良が行われてきたにも関わらず、その成功率はまだ低いままだ。疾病予防管理センターによれば、IVFサイクルのうち、約36%のみが継続可能な妊娠へとつながり、最終的には全体の24%だけが、赤ちゃんを産むことができるという。

もちろん、これは科学者たちがヒト胚に対して行った最初のテストではない。この技術は激しい国際討論を呼び起こしたが、今年の初めには米国の科学者たちが、CRISPR技術を用いて発生3日目のヒト胚から心臓疾患の原因となる遺伝子を取り除いている。

その研究や、今回の研究で使われた胚は、いずれも人間へと成長させることを意図したものではなく、研究の終了とともに廃棄されている。しかし、2つの研究は、将来的にはCRISPRが、人類の生命誕生に関わるかもしれない可能性を示唆している。

このブレークスルーを、数日以上の期間を超えて生育する胚に実際に適用するためには、まだ何年もかかるだろう。まだまだ沢山の研究も必要だ。しかしこの技術は流産に苦しむ人びとや、健康な赤ちゃんをいつか欲しいと思っている人びとに希望を与えてくれる。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: JAMIE GRILL/GETTY IMAGES

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TechCrunch Japan

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