CrunchBaseデータで見る成功したスタートアップの動向(資金調達額とイグジット額の比較)

(本稿執筆はMark Lennon)

CrunchBaseにも、イグジット関連のデータが蓄積されてきた。成功を収めたスタートアップのデータを詳細に分析して、ベンチャー投資との関連などについて分析してみよう。

まず、アメリカ国内の成功したスタートアップについて見ると、平均で4100万ドルの資金を調達していて、そして2億4290万ドルでのイグジットを果たしている。また、より大きな資金規模でのイグジットを果たした企業は、より多くの資金を調達しているという相関を確認することもできる。ただしファンディングを行う期間の長短により、買収ないし公開というイグジットに繋がるかどうかを示す関連性は認められなかった。

買収と公開という2種類のイグジットで比較してみよう。成功裏に買収された米国スタートアップは、平均で2940万ドルの資金を調達して、1億5550万ドルで売却している。投資家側の利益は7.5倍になるという計算だ(もちろんこれは投資家が全てを所有しているとした場合の計算で、現実的にはあり得ない話だ)。IPOを果たしたスタートアップについては、はるかに多くの資金を受け入れている。しかしそれにともなって多くのベンチャーファンドからの資金を受け入れるようにもなり、リターンについてみれば希釈化の問題もあって一概にはいうことが出来ない。

取り敢えずIPO達成したスタートアップの平均値を出してみれば、調達資金は1億6200万ドルとなっている。最近の大規模IPOもあって、公開時の平均は4億6790万ドルになる。単純に計算すれば、投資家のリターンは2.9倍ということになる(もちろんIPO時点ですべての株式を売却するような投資家はいない)。

今回の分析は、2007年以降、イグジットを果たしかつ投資を受け入れたスタートアップを対象としたものだ。但し、他のデータベースでもそうなのだが、スタートアップとベンチャー投資の関係を示すデータは不十分ないし不正確である場合があることも念頭においておいていただきたい。CrunchBaseは、スタートアップのデータを蒐集する最大級の無料データベースではあるが、それでもやはり不正確な面はあるだろう。

データを見ると、Facebookが最高額となる23億ドルという資金をIPO前に受け入れていて、そして株式公開により、こちらも最高額である約184億ドルを調達している。Twitterの方もIPOにより18億ドルを調達しているが、IPO前の調達額も12億ドルという具合になっている。下の図のサークルにマウスを合わせると、それぞれ詳細なデータが表示さえっるようになっている。

ところで、企業の操業年数というのはイグジットの成否に直接の関係はないようだ。買収された企業の平均操業期間は7年間であり、またIPOを果たした企業はだいたい8.25年ということになっている。繰り返すが、平均がその辺りにあるというだけで、どのくらいの期間でイグジットするのが平均的なのかというトレンドは見えていない。

出資企業がイグジットした件数をベンチャー投資家側から見てみよう。するとSV Angelが首位に立つようだ。他にもSequoia CapitalIntel CapitalAccel Partners、あるいはBenchmarkなどの名前が上がってくる。

CB Insights Venture Capitalの公開しているData Comparisonとも比較してみた。下の表には掲載されていないが、Q3およびQ4期間において、CrunchBaseには255件のイグジットデータが追加されている。毎日のように新しいデータが登録されているのだ。

スタートアップと投資家の関係や、上に述べたような動向が続いているのかそれとも変化の兆しがあるのか。ぜひCrunchBaseのデータを活用して、自分でも確認してみてほしい。2013年11月までのデータはこちらからダウンロードできる。新たな発見があれば、ぜひ教えて頂きたい。

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(翻訳:Maeda, H


投稿者:

TechCrunch Japan

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