2016年末に医療系キュレーションメディア「WELQ」を契機にした騒動を巻き起こしたディー・エヌ・エー(DeNA)。2月8日に開かれた2017年度第3四半期(3Q:4〜12月)の決算説明会の冒頭で、DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏はあらためてこの騒動に対して謝罪。サイト再開の可能性があるかどうかについて、「検討しているが決まっていることはない」とした。今後は3月を予定する第三者委員会の報告も踏まえて、アナウンスできることがあれば速やかに行うとしている。
DeNAの3Q累計決算(IFRS)は、売上収益が1087億2000万円(前年同期比0.0%増)、営業利益が186億6300万円(同27.1%増)、四半期最終利益が288億300万円(同244.5%増)となった。キュレーション事業については、現状で事業再開のめどが見えないとして、のれん代38億5900万円の減損損失を計上。同事業は2016度第1四半期〜第3四半期(4〜12月)で約17億円の営業赤字を計上しており、第4四半期については13億円弱の赤字になる見込みだという。また一方で欧米の海外子会社の清算に伴う諸経費22億円を計上。利益を押し上げた。
説明会の後半の質疑応答でも会場のアナリスト、メディアからキュレーション事業に関する質問があったため、その内容を中心にまとておこう。冒頭にもあったとおり、守安氏はキュレーション事業に関する第三者委員会の調査結果が出る3月、事業を再開するかどうか、その可否も含めて協議をしているという。
「再開するのであれば具体的にはどういうバリューがあればユーザーに受け入れられるか、運営として適切で、アウトプットで責任が持てるのか、世間的にも受け入れられるのか、事業としてみた場合に魅力的になるのかと総合的に判断していく」(守安氏)
またキュレーション事業の成長性自体が当初とズレてしまっているかという質問に対しては、「判断はまだ早い」(守安氏)として、再開の可否を話すタイミングで改めて説明するとした。
DeNAではWELQ騒動を受け、専用の相談窓口を立ち上げている。この窓口への相談件数は具体的に開示されなかったが、「総数では結構な数を頂いている」「実際の健康被害で言えば数件単位」「主張されたことが当社起因か分からないことがあるので個別で相談させて頂いている」(いずれもDeNA執行役員 経営企画本部長の小林賢治氏)という状況だという。
では、DeNAはWELQ騒動以後に変化があったのか? これについて守安氏は、「変わっている最中。変わっていこうとしている最中」と答えた。
「議論してるところ。(DeNAは)色んな事業を展開しているが、管理体制、コンプライアンスのあり方について十分かどうかや、やり方を考えている。また行動規範のあり方を見直す必要はあるのではないかと考えている。その中で経営体制なども、中長期で考えていこうとしている最中だ」(守安氏)