Dockerが今日(米国時間11/16)バルセロナで行われた同社のデベロッパカンファレンスで、商用のDockerデプロイ総合サービスDocker Universal Control Plane(UCP)を発表した。Dockerの有料サービスUCPは、opsチームによるクラスタのセットアップを容易化し、またそのクラスタに載るアプリケーションのデプロイを、デベロッパ向けに支援する。
Dockerのプロダクト担当VP Scott Johnstonによると、これまではつねに、Dockerなどの新しい技術を採用したいデベロッパと、会社のインフラストラクチャの安全性と信頼性を優先しなければならないITのオペレーションチームとのあいだに、対立があった。しかしスピードとセキュリティの両立は難しいので、何らかのトレードオフに落ち着くのが常だった。
今回の新しいツールを使うと、デベロッパはグラフィカルなユーザインタフェイスとDockerの標準のコマンドラインを使ってセルフサービス的に仕事ができ、一方ITはITでインフラストラクチャのデプロイと管理ができる。
Johnstonの説明によると、このプロダクトは基本的にはDockerの既存のツール(DockerネイティブのクラスタリングマネージャDocer Swarm、Docker Engine、Docker Compose、などなど)をラップするものだが、それだけでなく、エンタプライズが必要とするコントロール機能が大量に盛り込まれている。たとえばUCPは、既存のLDAPやActive Directoryのインストールを統合し、アドミンが個々のクラスタやアプリケーション、コンテナ、それにイメージなどをコントロールできるようにしている。
またユーザオーディットのログをとれるし、最初からTLS(標準化SSL)をサポートしている。アドミンとユーザには、クラスタをモニタリングするためのグラフィカルなツール集が提供される。
エンタプライズはUCPを使って、ローカルなクラスタと、パブリッククラウドに置いたクラスタの両方をコントロールできる。このサービス自身がDockerの標準APIを全面的に使っているので、Dockerに慣れているデベロッパにとってはきわめて使いやすいはずだ。
しかも、ということはこのサービスは、Docerのエコシステム中の既存のいろんなサービスでもって、容易に拡張できることを意味する。たとえば、もっと高度なモニタリング機能が欲しければ、そんな既存のサービスを見つけてプラグインすればよい。
Dockerは先月、Dockerアプリケーションをクラウドからデプロイし管理するクラウドベースのサービスTutumを買収したが、いろんな点でUCPは、それのエンタプライズ向けオンプレミスバージョンと言える。
UCPは今非公開ベータだが、ここで登録できる。料金の発表はなく、また、いつ一般公開されるのかも、現時点では不明だ。